相続前に親の家のことで確認しておきたいこと
まず確認したいこと
相続前でも、親の家の確認と整理は始められます。
相続が終わるまで動けない、は思い込みです。名義の確認方法(費用0円〜600円)、相続登記義務化、空き家の3,000万円特別控除まで、親が元気なうちに確認できることを公的情報に基づいて整理しました。片付け前・家族未相談でも相談できます。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年6月15日
読了目安
約12分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
久しぶりに帰省すると、親はまだ元気で、家の話を出すきっかけがないまま帰る時間になる。
本当は、固定資産税の納付書がどこにあるのか、この家の名義が誰なのか、一度確認しておきたい。
でも、親が元気なうちに家の話をするのは、どこか相続を待っているようで切り出せない。
この記事は、そんな「相続前」の段階で親の家が気になり始めた方に向けて書いています。
先に結論をお伝えすると、相続が終わるまで何もできない、ということはありません。
むしろ相続前は、確認できることが一番多い時期です。
この記事でわかること
- 相続前のいま、確認できること・できないことの正確な線引き
- 名義の具体的な確認方法と費用(0円〜600円)
- 相続登記の義務化、空き家の3,000万円特別控除など、知らないと損をしやすい制度の基本
- 家族に話す前に、材料をそろえる順番
この記事の結論:相続前でも、親の家の整理は始められます
相続前にできないのは、家の名義を自分に移すことや家を売ることなど、所有者でなければできない「実行」の手続きです。
一方で、「確認」と「整理」は、いまからできます。
むしろ、親に直接聞ける相続前のほうが、確認しやすいことがほとんどです。

この線引きがわかると、「まだ自分の家ではないから何もできない」という思い込みから離れられます。
いま売るかどうかを決める必要は、まったくありません。
900万戸・13.8%。親の家の「先送り」は全国で起きています
総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家は900万2千戸と過去最多で、空き家率は13.8%といずれも過去最高を更新しました。
2018年の調査から51万3千戸増えており、この30年で空き家の数はほぼ2倍になっています(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」、2026年6月確認)。
注目したいのは、このうち賃貸用・売却用・別荘などを除いた「使う予定が決まっていない空き家」が385万戸(総住宅数の5.9%)ある点です。
その多くが、誰かの「親の家」でした。
都道府県別に見ると、空き家率が最も高い和歌山県・徳島県では21.2%に達しています。
首都圏はそこまでの水準ではありませんが、住宅の総数が多いぶん空き家の絶対数は多く、一都三県の親の家も例外ではありません。
つまり、実家のことを決めきれずに先送りしているのは、あなただけではありません。
多くの家庭が「相続が起きてから慌てて考える」ことになった結果が、この数字です。
だからこそ、相続前のいま確認を始めることに意味があります。
なぜ「相続が終わってから」と思い込みやすいのか
親の家のことが気になっていても、多くの方が確認を先送りします。
理由ははっきりしています。
- 親が元気なうちに家の話をするのは、相続を待っているようで気が引ける
- 不動産会社に聞けば、売却を勧められそうで怖い
- そもそも何を確認すればいいのか、わからない
つまり、止まっている原因は「手続きができないから」ではなく、「聞きにくさ」と「順番のわからなさ」です。
だとすれば、先に整理すべきは手続きではなく、確認する項目の方です。
親への切り出し方に悩んでいる方は、実家の話を親に切り出せない人へも参考にしてください。
相続前にまず確認したいこと3つ
1. 家の名義がいま誰になっているか
意外に多いのが、親の家だと思っていたら、亡くなった祖父母の名義のままだったというケースです。
名義が誰かによって、この先の手続きの重さがまったく変わるため、最初に確認する価値があります。
確認方法は2つあります。

1つ目は、毎年4〜6月ごろに親宛てに届く固定資産税の納税通知書です。
同封の課税明細書に所有者と物件が記載されており、費用はかかりません。
親に直接聞きにくければ、「納税通知書ってどこにしまってある?」という書類の話から入ると自然です。
2つ目は、法務局で取得できる登記事項証明書です。
誰でも取得でき、手数料は窓口請求で1通600円、オンライン請求なら480〜500円です(出典:法務局、2026年6月確認)。
正確な所有者と共有関係がわかるため、祖父母名義のままになっていないかの確認にも有効です。
2. 親自身の意向をどこまで聞けているか
この家に住み続けたいのか。
いずれ住み替えも考えているのか。
家を最終的にどうしてほしいと思っているのか。
全部を一度に聞く必要はありません。
「家をどうするか」ではなく「これからどう暮らしたいか」から聞く方が、親も答えやすくなります。
たとえば、次のような聞き方なら、売る話に聞こえません。
- 「この家、建てたのいつだったっけ?」(建築年は後述する税制度の要件確認にもつながる)
- 「将来もこの家に住み続けたい?」(意向の確認)
- 「大事な書類って、どこにまとめてあるの?」(書類の所在確認)
逆に避けたいのは、「この家、いずれどうするの?」のように結論を迫る聞き方です。
親にとっては暮らしの話でも、聞き方ひとつで「家を処分する話」に聞こえてしまいます。
3. 相続が起きたとき、誰が関わることになるか
相続人になりそうなのは誰か。
兄弟姉妹はこの家のことをどう考えていそうか。
誰かが住む可能性はあるのか。
ここがあいまいなまま相続を迎えると、家の話と遺産分割の話が一度に押し寄せて、判断が止まりやすくなります。
兄弟間の進め方は兄弟で実家の話が進まないとき、最初にそろえる情報で詳しく整理しています。
制度の基本①:相続登記の義務化は、相続前の人にも関係があります
2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが義務になりました。
正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料の対象になることがあります(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、2026年6月確認)。
注意したいのは、義務化より前に発生した相続も対象になっている点です。
過去の相続で登記されていない不動産は、2027年3月31日が申請の期限とされています。
つまり、先ほどの「祖父母名義のまま」のケースは、すでにこの期限の対象になっている可能性があります。
名義の確認は、その意味でも相続前のいまやっておく価値があります。
なお、期限までに遺産分割がまとまらない場合のために、相続人申告登記という簡易な手続きも新設されています。
もし確認の結果、祖父母名義のままだとわかった場合、相続登記には祖父母の相続人全員の関与が必要になることがあります。
代替わりが進むほど関係者は増え、連絡の取れない人が出てくると手続きは一気に重くなります。
発見が相続前であれば、親や親戚がつながっているうちに専門家へ相談でき、残されている選択肢も多くなります。
ただし、誰が登記を申請すべきか、どの手続きを選ぶかは状況によって変わります。
個別の判断は司法書士などの専門家への確認が必要です。
制度の基本②:空き家の3,000万円特別控除は「相続前の確認」が効く制度です
相続した実家を売却したとき、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(被相続人の居住用財産に係る特例。
出典:国税庁タックスアンサーNo.3306、2026年6月確認)。
税額に直すと数百万円規模の差になり得る制度ですが、要件が細かく、「相続が起きてから初めて知った」ではすでに条件を外しているケースがあります。
主な要件を整理すると、次の通りです。
主な要件 | 内容 | 相続前に確認できるか |
|---|---|---|
建築時期 | 1981(昭和56)年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く) | ○ 登記事項証明書や納税通知書でいま確認できる |
居住状況 | 相続開始の直前に被相続人が一人で居住(老人ホーム等への入所でも、一定の要件を満たせば対象になる場合あり) | ○ 親の住まい方・入所時の手続きに関わる |
売却期限 | 相続開始から3年を経過する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までの売却 | △ 相続後の話だが、期限の存在は先に知っておける |
控除額 | 最高3,000万円(2024年以降、取得した相続人が3人以上の場合は最高2,000万円) | ○ 相続人の人数は相続前から整理できる |
この表のポイントは、要件の多くが「相続前に確認できる項目」だということです。
家の建築年、親の住まい方、相続人の人数。
どれも、いま整理しておけることばかりです。
適用の可否は個別判断になるため、実際の売却時は税理士などの専門家確認が必要です。
固定資産税の住宅用地特例と「管理不全空家」
住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が最大6分の1に軽減される住宅用地の特例があります。
一方、2023年12月施行の改正空家対策特別措置法では「管理不全空家」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると、この特例の対象から外れる場合があります(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」、2026年6月確認)。
これは「放置すると大変なことになる」と煽るための情報ではありません。
お伝えしたいのは、空き家になってからの管理には制度上の責任が伴う、という事実です。
だからこそ、空き家になる前の相続前の段階で、管理を誰がどう担うかまで含めて整理しておくと、慌てずに済みます。
いま決めなくていいこと
- 家を売るかどうか
- 誰が家を相続するかの結論
- 親に住み替えや施設の話を持ちかけること
- 不動産会社に査定を依頼すること
これらは、材料がそろってから考えれば十分です。
確認と決断を分ける。
これが相続前の整理で一番大切な考え方です。
売る・貸す・管理・保留。相続前は「比較の準備」に向いた時期です
親の家の選択肢は、売るだけではありません。
大きく4つを並べて比べることになります。
それぞれについて、相続前のいまできる準備があります。
選択肢 | 向いているケース | 相続前にできる準備 |
|---|---|---|
売る | 住む予定がなく、管理負担を減らしたい | 名義・建築年の確認、3,000万円控除の要件チェック |
貸す | 立地や建物の状態に活用余地がある | 家の傷み具合の把握、修繕履歴を親に聞いておく |
管理する | すぐに決められないが、家を維持したい | 誰が通えるか、費用を誰が負担するかの整理 |
保留する | 親の意向や家族の話し合いを待ちたい | 保留する場合の管理方法と見直し時期を決めておく |
相続前は、このどれも実行はできません。
ただ、比較の材料を集めるには、実は一番良い時期です。
親に直接聞ける。
書類を一緒に探せる。
家の傷み具合を見ておける。
これは相続後にはできないことです。
なお、「保留」を選ぶ場合も、決めておきたいことが3つあります。
①誰がどのくらいの頻度で家を見に行くか、②固定資産税や火災保険などの費用を誰が負担するか、③いつ・何をきっかけに方針を見直すか。
保留は「何もしない」ことではなく、「期限つきで様子を見る」と決めることで初めて選択肢になります。
相続が起きたあとに何が待っているか
相続前の整理に価値がある理由を、時間の流れで見てみます。

相続が起きた直後は、葬儀や行政手続きで手一杯になります。
その後に遺産分割の話し合いがあり、相続登記には3年の期限、売却時の特例にも期限があります。
相続前に名義・親の意向・関わる人を整理しておくと、これらの工程が「初めて考えること」ではなく「確認するだけのこと」に変わります。
これが、相続前の整理の最大の価値です。
家族に共有するなら、この3点だけ
配偶者や兄弟姉妹にこの話を共有するなら、次の3点だけで十分です。
- 相続前でも、名義や親の意向など確認できることがある
- 売るかどうかを決める話ではなく、困らないための確認の話
- 確認した結果は家族で共有しておく
「売る話」に見えてしまうと、家族の警戒で止まります。
あくまで「確認の話」として共有するのが、進めやすいコツです。
親がまだ住んでいる家でも、相談できます
親の家これから相談室は、売ることが決まってから相談する窓口ではありません。
- 相続前で、親がまだ住んでいる
- 名義を確認できていない
- 家族にまだ話していない
- 片付けは何もしていない
- 売るかどうかは白紙
この状態のままで大丈夫です。
いま確認できていることだけを材料に、次に何を確認すべきかを一緒に整理します。
一都三県在住で、親の家が松戸・東葛にある方へ
東京・神奈川・埼玉に住みながら、松戸・柏・流山・市川・船橋など千葉側の実家に年に数回だけ帰る。
そんな距離感の方が、この相談室の相談者には多くいらっしゃいます。
帰省の回数が限られていると、名義や書類の確認ができるタイミングも限られます。
だからこそ、次の帰省の前に「何を確認するか」を決めておくことに価値があります。
この記事の確認項目を、そのまま帰省前のチェックリストとして使ってください。
また、千葉県内でも、松戸や市川のように昔からの住宅地が多いエリアと、流山のように比較的新しい住宅地が広がるエリアでは、家の建築年の分布が異なります。
1981年5月以前の建築かどうかは、前述の3,000万円特別控除に直結する確認ポイントです。
築年数の古い住宅地に親の家がある方ほど、建築年の確認を早めにしておく価値があります。
松戸・東葛エリアの事情を踏まえた相談は松戸・東葛の親の家相談についてをご覧ください。
相談前チェックリスト(相続前版)
確認項目 | 確認の手がかり |
|---|---|
固定資産税の納税通知書を見たことがあるか | 毎年4〜6月ごろに親宛てに届く封書 |
家の名義が誰か把握しているか | 課税明細書、または法務局の登記事項証明書(600円) |
家の建築年を知っているか | 1981年5月以前なら3,000万円控除の対象になり得る |
親の「これからの暮らし」の希望を聞いたことがあるか | 家の話ではなく暮らしの話から |
相続人になりそうな人を整理できているか | 兄弟姉妹・配偶者など。人数は控除額にも影響 |
家の傷み具合をだいたい把握しているか | 雨漏り・外壁・水回り。帰省時に見ておく |
家族の誰かとこの話をしたことがあるか | 「確認の話」として切り出す |
全部埋まっている必要はありません。
埋まっていない項目が、そのまま「次に確認すること」になります。
まとめ:確認は、相続を待たなくていい
相続前の段階でできるのは、決めることではなく、確認しておくことです。
名義、親の意向、関わる人、家の建築年と状態。
この材料があるだけで、いざというときの家族の話し合いは格段に進めやすくなり、相続登記の3年期限や3,000万円控除のような期限のある制度にも、慌てずに向き合えます。
相続前に確認すべきことを、まず整理する。
そこから始めてみてください。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.相続前でも親の家の相談はできますか?
Q.親がまだ住んでいる家のことを相談してもいいのでしょうか?
Q.家の名義はどうやって確認できますか?
Q.相続登記の義務化は、まだ相続していない自分にも関係ありますか?
Q.空き家の3,000万円特別控除は、相続前から準備できますか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、売る前の状況整理からご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理売却前提なし。相談だけでも大丈夫です。
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