きょうだいで「お金の話」だけ先に整理しておく方法
まず確認したいこと
実家のお金の話は、費用の種類と立て替えの記録から先に整理できます。
実家の相続やこれからの費用のことで、きょうだいと気まずくなりそうと感じたら、代償分割・換価分割どちらに進むかを決める前に、費用の種類と立て替えの記録だけ先に整理できます。相続前でも、きょうだいにまだ話していなくても、少しずつ進められます。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年7月15日
読了目安
約13分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
母の入院費の請求書が届いた日、姉から届いたLINEには「今回はうちが払っておくね」とだけ書かれていた。
ありがたいと思う一方で、小さな引っかかりを感じた人もいるかもしれない。
「今回は」という言葉が、次はどうなるのか誰も決めていないことを示しているからだ。
実家の相続やこれからの費用について、きょうだいで「お金の話」を一度もしたことがない家庭は少なくない。
お金の話は、実家を売るか残すかという大きな決断より先に、実は少しずつ整理できることがある。
この記事は、きょうだいの誰かを責めるためのものではなく、これから先の話し合いを楽にするための準備として書いている。
この記事では、実家を売るか残すかを決める前に、きょうだいで「お金の話」だけを先に整理する方法を伝える。
相続がまだ起きていなくても、きょうだい全員で集まっていなくても、お金の論点だけなら少しずつそろえられる。
この記事では、次の3つがわかる。
- 実家にまつわる費用にはどんな種類があり、法律上は誰が負担するとされているか
- 代償分割・換価分割のそれぞれで、お金がどう動くか
- 立て替えと精算を、揉めずに進めるための記録の残し方
この記事の結論
実家の相続やこれからの費用について、きょうだい全員の意見を今すぐ一致させる必要はない。
先に整理できるのは、感情や好みではなく「費用の種類」と「誰が何を立て替えているか」という事実の部分である。
お金の情報だけを先に共有しておくと、あとで代償分割にするか換価分割にするかを決める場面でも、話し合いが揉めにくくなる。
ただし、正確な代償金の金額や遺産分割協議書の内容まで、今すぐ決める必要はない。
まずは「何にお金がかかりそうか」「誰が一時的に立て替えているか」を共有することから始められる。
なぜ「お金の話」だけが後回しになりやすいのか
実家の相続について、名義や片付けの話はできても、お金の話だけは切り出しにくいと感じる人が多い。
「お金に汚いと思われたくない」という気持ちが、費用負担の話を避けさせていることがある。
一方で、実家の近くに住み、日常的に管理や通院の付き添いをしているきょうだいは、すでに固定資産税や修繕費を立て替えている場合がある。
立て替えている側は「いつか精算されるのか」という疑問を抱えながらも、言い出しにくいことが多い。
逆に、遠方に住むきょうだいは、実家にどんな費用がどれくらいかかっているのか、金額の内訳をそもそも知らないことがある。
知らないことは悪意ではないが、知らないまま時間が経つほど「聞きそびれた」という気まずさが積み重なっていく。
民法第885条では、相続財産の管理や保存にかかった費用は、相続財産の中から支払うことができるとされている(e-Gov法令検索「民法」(第885条)、2026年7月13日確認)。
つまり、立て替えた費用の多くは、あとで相続財産や遺産分割の中で精算できる余地がある。
この仕組みを知らないまま「もう払ってしまったから仕方ない」と諦めているきょうだいもいる。
お金の話が後回しになるほど、誰が何を払ったかの記憶や記録があいまいになり、あとで感情的な対立に発展しやすくなる。
お金の話を切り出すきょうだいは、決して「お金にうるさい人」ではなく、家族の負担を可視化しようとしている人であることが多い。
名義や親の意向など、お金以外の情報をそろえる進め方は、兄弟で実家の話が進まないとき、最初にそろえる情報でも詳しく扱っている。
まず確認すること3つ
お金の話だけ、先に整理できます。
代償分割にするか換価分割にするかを決める前に、費用の種類や立て替えの状況を整理しておくと、きょうだいでの話し合いが進めやすくなります。
お金の話の前に状況を整理する何も決まっていない段階でも大丈夫です。
実家のことで止まっているきょうだいに、まず確認してほしいことを3つに絞る。
- 実家にまつわる費用として、これまでに何が発生し、これから何が発生しそうか(固定資産税、水道光熱費の基本料金、火災保険料、修繕費、将来的な解体費や測量費など)
- これまでに誰が、何を、どのくらい立て替えているか(正確な金額でなくても、項目と大まかな時期だけでもよい)
- 実家を売る場合、代償分割にするか換価分割にするか、大まかな方向性はどちらに近いか
この3つは、名義や親の意向を確認する話し合いとは別に、先に進めることができる。
家族のLINEやメモアプリに、費用の項目だけを書き出しておくことから始めても構わない。

今すぐ決めなくていいこと
- 代償金の正確な金額
- 実家を売るかどうかそのもの
- 遺産分割協議書の文言
- 相続税の申告方法や納税額
- 立て替えた費用をいつ、どの形で精算するかの最終ルール
これらは、名義や不動産の評価が確定してから決めても遅くない。
今の段階で必要なのは、結論を出すことではなく、費用の種類と負担の実態を共有することである。
実家の相続でかかりうる費用を、まず種類ごとに分けて見る
実家にまつわる費用と一口に言っても、発生するタイミングや法律・制度上の位置づけは項目ごとに異なる。
費用の種類 | 発生するタイミング | 法律・制度上の位置づけ |
|---|---|---|
固定資産税・都市計画税 | 親の存命中〜相続後 | 所有者(相続後は相続人)に納税義務。相続財産の中から支払われることが多い |
空き家の管理費(見回り・草刈りなど) | 空き家になった後 | 相続財産の保存費用として扱われることが多い(民法885条) |
測量費・境界確定費用 | 売却や遺産分割の前 | 遺産分割を進めるための費用として扱われることが多い |
解体費 | 売却や建て替えの前 | 誰が所有者かによって負担者が変わるため専門家確認が必要 |
相続登記の登録免許税 | 相続登記の申請時 | 固定資産税評価額の0.4%が原則。不動産の価額が100万円以下の土地は2027年3月31日まで免税措置あり |
登記事項証明書の取得費用 | 名義確認時 | 窓口請求600円、オンライン請求480〜500円程度 |
表からわかるとおり、費用には「相続が起きる前から発生しているもの」と「相続後の手続きのために発生するもの」がある。
名義変更や相続登記そのものにかかる費用は、法務局の公式情報で確認できる。
登記事項証明書は、窓口請求で600円、オンライン請求であれば480〜500円程度で取得できる(法務局「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」、2026年7月13日確認)。
相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%が原則だが、不動産の価額が100万円以下の土地については、2027年3月31日までの間、登録免許税が免税となる措置がある(法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」、2026年7月13日確認)。
この措置は、実家の評価額が低い土地を持つ家庭ほど、知っておく価値がある。
解体費や測量費のように、業者や物件の状況によって金額差が大きい費用については、この記事では一律の金額を示さない。
正確な金額は、複数の業者から見積もりを取って比較する必要がある。
代償分割と換価分割、お金の流れはどう違うか
実家を含む遺産の分け方には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つがあるとされている(京都家庭裁判所「遺産分割Q&A」、2026年7月13日確認)。
このうち、きょうだいで実家を分けるときによく検討されるのが、代償分割と換価分割の2つである。
代償分割は、きょうだいの一人が実家を相続する代わりに、他のきょうだいへ現金で代償金を支払う方法である。
換価分割は、実家を売却して現金化し、その代金をきょうだいで分ける方法である。
代償分割は実家を売らずに残せる一方、代償金を支払う側にまとまった資金が必要になる。
換価分割は現金で公平に分けやすい一方、実家そのものは手元に残らない。
どちらが向いているかは、実家に住み続けたいきょうだいがいるか、代償金を用意できるきょうだいがいるかによって変わる。
今の段階では、どちらか一方に決める必要はなく、両方の可能性があることをきょうだいで共有しておくだけでよい。

代償金を用意する側が、先に知っておきたいこと
代償分割を選ぶ場合、実家を相続するきょうだいは、他のきょうだいに支払う代償金をどう用意するかという課題に直面する。
一般的には、預貯金でまかなう方法、実家以外の相続財産や自分の資産を売却してまかなう方法、金融機関からの借り入れを利用する方法などが考えられる。
どの方法が現実的かは、代償金の金額や、代償分割を選ぶきょうだいの資産状況によって変わるため、この記事では一律の答えは示さない。
資金計画については、司法書士や税理士、金融機関など専門家への確認が必要になる場合がある。
あわせて意識しておきたいのが、相続税がかかる場合の申告期限である。
相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要がある(国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」、2026年7月13日確認)。
代償金の準備や遺産分割協議に時間がかかると、この10か月という期限が近づいてから慌てることになりやすい。
すべてを今すぐ決める必要はないが、期限があること自体は、早い段階できょうだいで共有しておく価値がある。
相続前の段階で確認できることについては、相続前に親の家のことで確認しておきたいことにまとめている。
「立て替え」と「精算」を揉めずに進める記録の残し方
実家の費用で最も揉めやすいのは、金額そのものより「言った言わない」という記録の有無である。
固定資産税の納付書や修繕業者の領収書は、支払った直後に写真で残しておくと、あとで精算するときの根拠になる。
家族で共有できるスプレッドシートやメモに、日付・項目・金額・立て替えた人だけを記録しておく方法もある。
難しい表計算や正式な帳簿である必要はなく、あとで見返せる形になっていれば十分である。
この記録は、最終的に代償分割になっても換価分割になっても、精算の場面でそのまま使える。
記録を残すことは、誰かを疑うためではなく、立て替えている人の負担を見える形にするためのものである。
感情の話し合いの前に、お金の情報だけ先に共有する
「実家をどうするか」という話し合いは、売る・残すという感情がからむ論点と、費用という事実の論点が混ざりやすい。
先に費用の情報だけを共有しておくと、家族会議の本番では、感情の話し合いに集中しやすくなる。
たとえば、家族のLINEに「実家の費用リスト」というメモを一つ作り、話し合いの前に全員が目を通せる状態にしておく方法がある。
全員が同じ費用情報を見た状態で話し合うと、「知らなかった」「聞いていない」という対立が減る。
お金の話を先に整理しておくことは、きょうだいの誰かを問い詰めることではなく、あとの話し合いを短くするための準備である。
「揉めるのは特別な家庭だけ」ではない
「うちのきょうだいは仲がいいから大丈夫」と思っていても、お金の話がきっかけで関係がこじれることはある。
裁判所の司法統計によると、令和6年に家庭裁判所へ新たに持ち込まれた遺産分割事件は15,379件にのぼる(裁判所「令和6年司法統計年報3家事編」第44表、2026年7月13日確認)。
この件数は、平成12年の8,889件から令和6年の15,379件へ、約20年間で1.7倍に増えている(裁判所「令和6年司法統計年報3家事編」第44表、2026年7月13日確認)。
ここでいう遺産分割事件とは、相続人どうしの話し合いがまとまらず、家庭裁判所の調停や審判に持ち込まれた件数を指す(裁判所「令和6年司法統計年報3家事編」概要、2026年7月13日確認)。
話し合いの途中で解決した家庭を含めれば、お金のことで意見が割れた家庭はさらに多いと考えられる。
遺産分割で意見が割れる家庭は、資産が多い家庭に限らない。
財産の内訳が不動産中心で現金が少ない家庭ほど、代償金の準備や換価分割の必要性をめぐって意見が割れやすい傾向がある。
だからこそ、揉めてから対応するのではなく、揉める前にお金の情報だけ先にそろえておく意味がある。
家族に共有するなら、この3点だけ
- お金の話は、実家を売るか残すかを決める話ではなく、費用の負担ルールを先に決めておく話であること
- 誰か一人が立て替えたまま精算されない状態にしないため、記録だけは残しておくこと
- 代償分割になるか換価分割になるかは、まだどちらもあり得る前提で話してよいこと
この3点だけをきょうだいのグループに共有すれば、感情的な対立を招かずに済むことが多い。
そのまま転送しても使える文面として、この記事のリンクを共有する方法もある。
お金の話を先に済ませておくきょうだいほど、あとの話し合いで感情的にならずに済んだという声もある。
このような状態でも相談できます
- 相続がまだ発生していない
- 実家の名義がまだ確認できていない
- きょうだいの誰にもまだ話していない
- 実家の片付けが終わっていない
- 代償分割か換価分割か、まったく決めていない
- 実家が遠方にあり、頻繁に見に行けない
- きょうだいでお金の話を一度もしたことがない
親の家これから相談室は、こうした状態のまま相談できる窓口として設計されている。
いきなり売却や査定を勧めるのではなく、まず費用や状況の整理から始める。
親が施設に入っている場合の費用整理は、親の施設費と実家の維持費、二重の負担をどう整理するかでも扱っている。
一都三県に分かれて住むきょうだいだからこそ、お金の話が難しくなる
松戸・柏・流山・市川・船橋・鎌ケ谷・我孫子・野田など東葛エリアに実家があっても、きょうだい自身は東京や神奈川、埼玉など別の都県に住んでいることが多い。
同じ市内に住んでいれば見える固定資産税の納付書や庭木の伸び具合も、離れて住むきょうだいには見えにくい。
距離が離れているぶん、実家の費用を立て替えているきょうだいの負担が、他のきょうだいに伝わりにくい構造がある。
オンラインで完結する記録の共有や、写真・領収書のやり取りは、こうした距離の問題を補う手段になる。
実家が東葛エリアにある場合、地域の司法書士会や税理士など専門家と連携しながら、費用の整理を進められる場合もある。
松戸・東葛エリアの親の家についての相談は、こちらの窓口からも受け付けている。
相談前チェックリスト
確認項目 | なぜ確認するか |
|---|---|
実家の所在地 | 相談先や制度(自治体の補助金など)が地域によって異なるため |
実家の名義が誰になっているか | 費用負担や手続きの前提になるため |
これまでに発生した費用の種類 | 固定資産税・修繕費・管理費など、洗い出すだけでも話し合いの土台になるため |
誰が費用を立て替えているか | 精算の対象を明確にするため |
立て替えた記録が残っているか | あとで金額や時期を確認できるようにするため |
きょうだい・関係者は何人いるか | 代償分割・換価分割いずれの検討にも関わるため |
代償分割・換価分割のどちらが現実的そうか | 今後の方向性をゆるやかに共有しておくため |
家族で話しているか、まだ話していないか | 相談窓口へ伝える前提として整理しておくため |
すべての項目が埋まっていなくても構わない。
わからない項目があること自体も、状況整理の一部として相談できる。

まとめ
実家の相続やこれからの費用は、きょうだい全員の意見を一致させてから動く必要はない。
先に整理できるのは、費用の種類と、誰がいつ何を立て替えたかという事実の部分である。
代償分割にするか換価分割にするかは、まだ決めなくてよい。
法律・税務・登記に関わる個別の判断は、司法書士や税理士など専門家への確認が必要になる場合がある。
お金の話を先に整理しておくことは、きょうだいの関係を守るための準備でもある。
実家という一つの不動産をめぐる話し合いだからこそ、感情とお金を分けて考える価値がある。
お金の話を、きょうだいの対立にしないための整理ポイントを確認する。
今すぐ売る必要はありません。
まずは30秒で、親の家の状況を整理してみませんか。
片付け前、相続前、家族未相談でも大丈夫です。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.きょうだいでお金の話をする前に、何から整理すればいいですか?
Q.代償分割と換価分割、どちらを選べばいいかわかりません。相談できますか?
Q.すでに固定資産税や修繕費を立て替えています。あとで精算できますか?
Q.きょうだいにまだお金の話を切り出せていません。それでも相談できますか?
Q.相続前でも、お金の話だけ先に整理しておけますか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、今の状況からお気軽にご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理何も決まっていない段階でも、相談だけでも大丈夫です。
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