相続した実家、相談する相手で答えが変わる|売る前に整理したいこと
まず確認したいこと
相談する相手で答えは変わります。まず何を相談したいか整理しましょう。
親の家を相続して「どこに相談しよう」と迷っている方へ。相続した実家を売るか貸すか住むかは、相談する相手の業種によって勧められる答えが変わります。一社に決める前に、何を相談したいかを整理し、売る・貸す・住む・保留を自分で並べる方法を、空き家の税の特例や期限とあわせて解説します。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年6月23日
読了目安
約13分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
親の家を相続したあと、ふと「この家、どうしよう」と思って検索してみる。
画面に出てくるのは、無料査定、高価買取、土地活用、リフォーム。
広告の言葉がずらりと並ぶほど、どこに相談すればいいのか、かえって分からなくなります。
駅前の不動産屋に入ってみようかと思っても、足が止まる。
「結局、どこに相談しても、その会社に都合のいい方へ話を進められるのでは」
そんな警戒心から、相談そのものを先送りしている方は少なくありません。
この記事では、相続した実家を売るか貸すか住むかの結論を急ぐ前に、「相談する相手によって勧められる答えが変わる」という仕組みと、その前に自分で整理しておきたいことをお伝えします。
売ると決めていなくても、ここから読み進めて大丈夫です。
結論:相談相手で答えは変わる。だからまず「何を相談したいか」を整理する
先に結論からお伝えします。
相続した実家を「どうするか」は、相談する相手によって勧められる答えが変わります。
これは、誰かが嘘をついているという話ではありません。
売却を専門にする会社は売る方法に詳しく、賃貸を扱う会社は貸す方法に詳しい。
それぞれが、自分の得意な分野での「正解」を、よかれと思って提案してくれます。
だからこそ大切なのは、相手を探す前に、自分が何を相談したいのかを先に整理しておくことです。
「すぐ売りたい」のか、「売る・貸す・住むのどれがいいかを一緒に考えてほしい」のかで、選ぶべき相手は変わります。
その整理は、まだ何も決めていない段階からでも始められます。
相手に答えを委ねる前に、自分の中に判断の軸を持っておくこと。
それが、相続した実家のことで遠回りしないための、最初の一歩になります。
なぜ、相談する相手によって勧められる答えが変わるのか
同じ「相続した実家をどうするか」という相談でも、相手の業種によって返ってくる答えは違います。
その理由を、具体的に見ていきましょう。

売却専門・賃貸業者・工務店、それぞれの「得意な答え」
売却を専門にしている不動産会社に相談すると、多くの場合「売りましょう」という方向で話が進みます。
賃貸を主に扱う会社なら、「貸しましょう」という提案になりやすいでしょう。
工務店やリフォーム会社に聞けば、「リフォームすれば活かせます」「解体して建て替えては」という答えが返ってくることもあります。
どれも間違いではありません。
ただ、それぞれの会社が得意とする分野の中での「正解」である、という点は知っておきたいところです。
悪気はない。だからこそ、見分けるのが難しい
厄介なのは、多くの場合そこに悪気がないことです。
担当者は、自分の扱う方法が一番いいと本心から信じて勧めてきます。
だから、話を聞いているこちら側も「専門家が言うのだから」と納得してしまいやすいのです。
本来は、その家を客観的に見て「売る・貸す・住む・保留のどれが自分にとって有利か」を一緒に並べてくれる相手に相談するのが理想です。
同じ不安は、不動産会社に相談すると売却を迫られそうで怖い方へでも取り上げています。
一社の店舗にいきなり入ると、その業種の選択肢に話が寄っていくことは、頭の片隅に置いておきましょう。
とくに相続した実家は、家族の事情や税の期限がからむぶん、一方向に話が進むと取り返しがつきにくくなります。
だから、相手の得意分野を知ったうえで相談することが、ふだんの売買以上に大切になります。
まず確認しておきたい3つのこと
相談相手を選ぶ前に、自分の側で整理しておくと迷いにくくなることが3つあります。
むずかしい知識は要りません。
① 相談の目的は「売却」か「どうするかの判断」か
まず、自分が相談したいことが「売る方法」なのか、「そもそも売る・貸す・住むのどれがいいかの判断」なのかを分けてみます。
前者なら売却に強い相手、後者なら複数の選択肢を中立に並べてくれる相手が向いています。
この入口を間違えると、話が一方向に進みやすくなります。
② 売る・貸す・住むのうち、どれが現実的か
家族の誰かが住む可能性はあるか。
その地域で借り手が見つかりそうか。
当面は持っておきたいのか。
完璧な答えでなくて構いません。
「住む人はいない」「貸せるかは分からない」程度の見当でも、相談相手に伝える材料になります。
③ 相続・名義・税の期限が絡むか
相続した家には、名義の変更や税の特例など、期限のある手続きが関わることがあります。
個別の判断は専門家の確認が必要ですが、「期限のある話が絡みそうかどうか」を意識しておくだけでも、相談の優先順位が見えてきます。
相続前に確認しておきたいことは、相続前に親の家のことで確認しておきたいことにまとめています。
数字で見る、相続した実家のいま
自分だけが迷っているわけではない、という前提も確認しておきましょう。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査(令和7年8月公表)によると、空き家を取得した経緯で最も多いのは相続で、57.9%を占めています(参照元: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」、2026年6月22日確認)。
同じ調査では、建てられた時期が古い家ほど相続で取得した割合が高く、1950年以前の家ではおよそ79%にのぼります。
つまり、古い実家を相続して「どうしよう」と悩むのは、ごくありふれた状況だということです。
背景には、空き家そのものの増加もあります。
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日時点)によると、全国の空き家は900万2千戸と過去最多で、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました(参照元: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」、2026年6月22日確認)。
空き家の取得経緯 | 割合 |
|---|---|
相続 | 57.9% |
新築・建て替え | 約17% |
既存住宅を購入 | 約14% |
出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月公表)より作成。2026年6月22日確認。
売る・貸す・住むを、相手任せにせず自分で並べる
相談相手に話を寄せられないために、選択肢を自分の手元で並べておきましょう。
相続した実家の場合、おおまかに次のように整理できます。
選択肢 | 向いている場合 | 相続の場面で注意すること |
|---|---|---|
売る | 住む予定がなく、相続人で現金を分けたい | 空き家の税の特例には期限と条件がある |
貸す | 立地がよく、当面手放したくない | 貸すと使えなくなる税の特例がある |
住む | 相続人の誰かが住む意思がある | 誰が住み、誰が他の財産を受け取るか |
保留 | 家族の合意や名義がこれから | 持ち続ける間も固定資産税や維持費がかかる |
どれが正解かは、家の状態と家族の暮らし方によって変わります。
四つを並べておくと、相手が一方向に話を進めようとしたときに「他の選択肢はどうですか」と確認できます。
売るか残すかの考え方は、親の家を売るか残すか迷ったときの考え方でくわしく整理しています。
選ぶときの軸になるのは、家そのものより、これからの暮らし方です。
たとえば、親が亡くなって実家を相続した方が、いまは別のマンションで暮らしているとします。
この場合、実家に戻って住み、いまのマンションを貸す、あるいは売るという組み合わせも考えられます。
逆に、実家のほうが貸しにくい立地なら、実家を自分で使い、貸しやすいマンションを賃貸に回す、という発想もできます。
どの家を残し、どの家を手放すかは、家単体ではなく、家族全体の住まいの組み合わせで考えると見えてきます。
相続ならではの「お金と税」の落とし穴
相続した実家には、ふつうの売買にはないお金の論点があります。
ここを知らずに順番を決めると、後から損をすることがあります。
相続人が複数なら、分け方が論点になる
相続人が複数いて、主な財産が実家しかない場合、家は分けにくい財産です。
一人が家を取得し、他の相続人にその分の金銭を渡す方法(代償分割と呼ばれます)もありますが、渡すための現金が必要になります。
たとえば3,000万円相当の家を3人で相続し、一人が取得する場合、他の二人に渡す金額は合計でまとまった額になります。
現金の用意が難しいときに、家を売って代金を分ける選択が取られることもあります。
分け方の個別の判断は、司法書士や税理士など専門家への確認が必要です。
貸すと、空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる
相続した空き家を売るときには、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
対象は1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋などで、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、そして適用期限は2027年12月31日までとされています。
ここで見落としやすいのが、相続の時から売るときまで、その家を事業・貸付け・居住に使っていないことが要件に含まれている点です。
つまり、いったん誰かに貸してしまうと、この特例は使えなくなる場合があります。
「とりあえず一年だけ貸して、来年売ろう」という順番が、結果として特例を取り逃がすことにつながりかねません。
なお、相続人が3人以上の場合は控除額が1人あたり2,000万円になるなど条件があり、適用の可否は税務署や専門家への確認が必要です(参照元: 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、2026年6月22日確認)。

今すぐ決めなくていいこと
相談相手を整理する段階では、次のことを今すぐ決める必要はありません。
- 売るかどうか、いつ売るか
- 貸すかどうか
- どの会社に依頼するか
- 家族全員の結論を先に一つにまとめること
- 相続や税の判断を自分だけで下すこと
先に必要なのは、相手任せにしないための材料をそろえることだけです。
知っておきたい制度と期限
判断を急がないためにも、期限のある制度は早めに知っておきましょう。
いずれも個別の判断は専門家の確認が必要です。

相続登記の義務化
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。
施行前に相続した不動産も対象で、その場合は2027年3月31日までが申請の期限とされています(参照元: 法務省「相続登記の申請義務化について」、2026年6月22日確認)。
管理不全空家と、固定資産税
2023年12月に空家等対策特別措置法が改正され、特定空家になる前の「管理不全空家」も、市区町村が指導・勧告できるようになりました。
勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、固定資産税の優遇が受けられなくなる場合があります(参照元: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」、2026年6月22日確認)。
持ち続ける選択にも、こうした維持コストがついて回ることは知っておきたいところです。
同じ会社でも、担当者の経験で答えは変わる
相談相手の違いは、業種だけではありません。
同じ不動産会社でも、担当者がどんな経験を積んできたかで、相続の相談への強さは変わります。
不動産の営業は、まず賃貸の仲介から始め、次に住宅を買う人の接客、その後に売却の担当へと、段階を踏んで経験を広げていくことが多い分野です。
このうち、相続がからむ売却は、扱う金額も大きく、税や名義の知識も必要で、難しい部類に入ります。
そのため、賃貸の仲介を中心にやってきた担当者だと、相続登記や空き家の税の特例まで詳しくないこともあります。
駅前で見かける不動産会社の多くは、賃貸の取り扱いが中心です。
そこへ「相続した家をどうすればいいか」と相談しても、必ずしも踏み込んだ答えが返るとは限りません。
かといって、経験が長ければ安心とも言い切れません。
長く売却を扱ってきた人の中にも、こちらの状況より自社の都合を優先してしまう例はあります。
年数の長さだけでなく、相続した家の売却を正直に扱い慣れているかどうかで相手を見ることが、遠回りのようで近道です。
中立に相談できる相手を、どう見極めるか
では、一方向に話を進めない相手は、どう見分ければいいのでしょうか。
ひとつの目安は、こちらが「まだ売ると決めていない」と伝えたときの反応です。
すぐ査定や契約の話に進めようとせず、売る・貸す・住む・保留を並べて一緒に考えてくれる相手なら、客観的に見てくれる可能性が高いといえます。
駅前の不動産会社は賃貸の取り扱いが中心の店も多く、相続や空き家の税の特例に不慣れな場合もあります。
相続した実家のことなら、売却・賃貸・管理・士業を横断して整理できる窓口に相談すると、選択肢を狭めずに済みます。
当室も、売却を前提にせず、売る・貸す・管理・保留を並べて整理するところから相談を受けています。
相談は、その場で結論を出すためのものではありません。
「まだ売ると決めていない」「どの選択肢が自分に向くか知りたい」という入口で大丈夫です。
何が分からないのかを一緒に言葉にするところから、止まっていた話は動き始めます。
家族に共有するなら、この3点だけ
家族に相談を切り出すときは、短い要点のほうが伝わります。
- 相談する相手によって、勧められる答えは変わる
- だからまず「何を相談したいか」を家族で決めてから動く
- 売る・貸す・住む・保留を並べてから、方向性を話せばよい
この3点なら、メッセージで送っても角が立ちにくいはずです。
誰かを責める話ではなく、進め方をそろえる話として共有してみてください。
このような状態でも相談できます
次のような状況でも、相談して大丈夫です。
- 相続したばかりで、何から手をつけるか分からない
- 売るか貸すか住むか、まったく決めていない
- 家族にまだ話していない
- 名義の変更(相続登記)がこれから
- 不動産会社に相談すると売却を迫られそうで不安
- 実家が遠方で、なかなか通えない
どれか一つでも当てはまるなら、それは相談を先送りする理由にはなりません。
相談前チェックリスト
相談の前に、わかる範囲で次のことをメモしておくと、話がスムーズになります。
- 家の所在地と種類(戸建て・マンション・土地)
- 名義が誰になっているか(相続登記が済んでいるか)
- 相続人が何人いるか
- 家族の誰かが住む可能性があるか
- 相談したいのは「売却」か「どうするかの判断」か
- 売る・貸す・住む・保留のうち、今いちばん気になるもの
- 建てられた時期(古い家かどうか)
すべて埋まっていなくて構いません。
「わからない」も、立派な相談の出発点です。
まとめ:一社に決める前に、自分にとって有利な選択を整理する
相続した実家をどうするかは、相談する相手によって勧められる答えが変わります。
売却専門なら売る、賃貸業者なら貸す、工務店ならリフォームや解体。
どれも悪気のない提案ですが、その業種の得意な範囲での「正解」でもあります。
だからこそ、相手を選ぶ前に「何を相談したいか」を整理し、売る・貸す・住む・保留を自分の手元で並べておくことが、後悔の少ない順番になります。
放っておくと、固定資産税や維持費だけがかかり続けます。
急いで結論を出す必要はありませんが、整理だけは早めに始めておくと安心です。
松戸・東葛エリアの親の家については、松戸・東葛の親の家相談窓口でも相談を受け付けています。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.相続した実家は、まずどこに相談すればいいですか?
Q.不動産会社に相談すると、売却を迫られそうで不安です。
Q.相続した家を貸すと、税の特例が使えなくなると聞きました。
Q.まだ売るか決めていなくても相談できますか?
Q.家族にまだ話していなくても相談できますか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、売る前の状況整理からご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理売却前提なし。相談だけでも大丈夫です。
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