一都三県にある親の家、売る前に整理しておきたいこと
まず確認したいこと
今すぐ売る必要はありません。まず3点の整理から始められます。
東京・神奈川・埼玉・千葉のどこに親の家があっても、近いからこそ判断が止まりがちです。売る前に、家の所在地・家族の住まい・名義や築年の3点を一枚に整理する方法を、空き家の公的データや制度の確認ポイントとあわせて解説します。片付け前・相続前・家族未相談でも整理から始められます。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年6月24日
読了目安
約13分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
東京の自宅から、親の家がある千葉や埼玉まで、電車で一時間ちょっと。
「行こうと思えば行ける距離」なのに、なぜか親の家のことだけが動かないままになっている。
そんな状態で、この記事を開いた方が多いのではないでしょうか。
親は千葉、長男は東京、妹は神奈川、弟は埼玉。
家族の住まいが一都三県のあちこちに散らばっていると、距離が近いぶん「いつでも動ける」と思えて、かえって誰も動かない時間が長くなりがちです。
この記事では、一都三県に親の家があり、家族の住まいも分散している方に向けて、売る前に整理しておきたいことを、順番に分けて説明します。
結論から言うと、今すぐ売る必要はありません。
まず「どの都県の、どの自治体に家があるか」「一都三県のどこに、誰が住んでいるか」「建物と土地の基本情報がどこまで分かるか」の三つを、家族の誰か一人が一枚にまとめるところから始めれば十分です。
片付けが終わっていなくても、相続が起きる前でも、家族にまだ切り出していなくても、状況の整理だけは先に進められます。

「一都三県なら近いから大丈夫」が、いちばん止まりやすい
遠方の実家であれば、「物理的に通えない」という分かりやすい理由があるため、早めに管理や売却を考えるきっかけになります。
ところが一都三県の中に親の家があると、「行こうと思えば日帰りで行ける」という近さが、判断を先送りさせてしまうことがあります。
緊急ではないので後回しになり、後回しのまま年単位で時間が過ぎていく、という流れです。
もう一つの特徴は、家族の住まいが一都三県の中で分散していることです。
親が千葉、子どもが東京・神奈川・埼玉にそれぞれ住んでいると、誰がいちばん家に近いのか、誰が情報を持っているのか、誰が動くのかが、はっきり決まらないまま止まります。
「近いから」「いつでも行けるから」という言葉は、裏を返すと「だから今日でなくていい」という先送りの理由にもなります。
止まっているのは、家族の誰かがだらしないからではありません。
近さと分散という、一都三県ならではの条件が重なっているからです。
結論:まず「場所・人・家の情報」を一枚に集める
売る・貸す・解体といった判断は、いったん横に置いてかまいません。
最初にやることは、判断ではなく情報集めです。
親の家がどこにあって、家族の誰がどこに住んでいて、家と土地の基本情報がどこまで分かっているか。
この三つを一枚の紙やスマホのメモにまとめるだけで、家族の話し合いは一気に進めやすくなります。
逆に、この三つがそろわないまま「売ろうか」「まだいい」と話しても、それぞれが別の前提で話しているので、議論はかみ合いません。
次の章から、その三つを具体的に見ていきます。
まず確認したい3つのこと
一都三県に親の家がある場合、最初に確認したいのは次の三点です。
どれも、親の家を売ると決めていなくても、片付けが終わっていなくても確認できます。
1. 親の家が「どの都県・どの自治体」にあるか
同じ一都三県でも、空き家の相談窓口や使える制度は、市区町村ごとに違います。
松戸市と世田谷区、さいたま市と横浜市では、空き家の相談先も、補助制度の有無も別々です。
「首都圏だからどこも同じ」ではなく、家がある自治体の名前で調べることが出発点になります。
固定資産税の通知書や登記の住所を見て、正確な所在地(市区町村・町名)を確認しておきましょう。
2. 一都三県のどこに、誰が住んでいるか
親の家にいちばん近いのは誰か、平日に動けるのは誰か、情報を持っているのは誰か。
家族の住まいと動ける条件を書き出すと、「誰が窓口役になるか」が自然に見えてきます。
役割を決めるためではなく、押しつけ合いを防ぐための整理だと考えてください。
3. 建物と土地の基本情報がどこまで分かるか
名義は誰か、いつ建てられた家か、前面道路はどうなっているか。
この基本情報がそろっていないと、売る・貸す・管理のどれを考えるにも材料が足りません。
名義や面積は、法務局で登記事項証明書を取れば確認できます。
手数料は、窓口など書面での請求が1通600円、オンライン請求では送付で受け取る場合が520円、登記所の窓口で受け取る場合が490円です(令和7年4月1日改定)。
(参照元:法務省「登記手数料について」、2026年6月24日確認)

いま決めなくていいこと
整理を始めると、つい先のことまで一度に決めたくなります。
ですが、この段階で決めなくてよいことははっきりしています。
売るか売らないか、今すぐ結論を出す必要はありません。
どの不動産会社に頼むか、誰が相続するか、いくらで売るか。
これらは、基本情報がそろってから家族で考えれば十分間に合います。
いま決めるのは「次に何を確認するか」だけで大丈夫です。
一都三県でも、空き家の事情は都県ごとに違う
「首都圏は人口が多いから空き家は関係ない」と思われがちですが、実際の数字を見ると印象は変わります。
総務省の調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高でした。
このうち、賃貸用や売却用、別荘などを除いた、いわゆる「使われずに放置されやすい空き家」は385万6千戸で、総住宅数の5.9%にあたります。
(参照元:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」、2026年6月24日確認)
一都三県を、この「賃貸・売却用や二次的住宅を除いた空き家率」で見ると、全国平均より低い水準です。
東京都が2.6%、神奈川県が3.2%、埼玉県が3.9%と、いずれも全国平均の5.9%を下回っています。
千葉県は、空き家数が39万4,100戸、空き家率は12.3%で、賃貸・売却用などを除いた空き家率は5.0%でした。
(参照元:千葉県総合企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」、2026年6月24日確認)
地域 | 空き家率(全体) | 賃貸・売却用等を除く空き家率 |
|---|---|---|
全国 | 13.8% | 5.9% |
東京都 | ― | 2.6% |
神奈川県 | ― | 3.2% |
埼玉県 | ― | 3.9% |
千葉県 | 12.3% | 5.0% |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)」、千葉県総合企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」(いずれも2026年6月24日確認)。「―」は本記事で都県別の全体空き家率を確認できなかった項目です。
数字が比較的低いことは、「だから安心」という意味ではありません。
むしろ一都三県では中古住宅や土地の需要が一定あるため、家の状態や立地によっては、選択肢が残っているうちに整理する価値が大きい、と読むほうが現実的です。
売る・貸す・管理・保留を、並べて比べる
親の家のこれからは、「売る」か「売らない」かの二択ではありません。
大きく分けると、売る・貸す・管理して持ち続ける・いったん保留する、の四つがあります。
一都三県は移動しやすいぶん、貸す・管理するという選択肢も現実的に検討しやすい地域です。
それぞれの向き・不向きを、いったん並べて見てみましょう。
選択肢 | 向いているケース | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
売る | 使う予定がなく、維持の負担を減らしたい | 名義・相続の整理が前提。急いで決めると後悔しやすい |
貸す | 立地に需要があり、当面手放したくない | 修繕費や管理の手間。借り手が決まらない期間の負担 |
管理して持つ | 将来使う可能性がある、思い入れが強い | 固定資産税・草木・通いの負担が続く |
いったん保留 | 家族の考えがそろっていない | 放置と保留は違う。最低限の管理は必要 |
大切なのは、四つを「今すぐどれかに決める」ことではありません。
それぞれの負担と条件を家族が同じ表で見て、どれが現実的かを一緒に考えられる状態にすることです。
売る・貸す・管理・保留の考え方は、親の家を売るか残すか迷ったときの考え方でも詳しく整理しています。

距離別に「動き方」を変える
一都三県の中でも、親の家までの距離はさまざまです。
距離によって、無理のない関わり方は変わります。
日帰りで行ける距離(おおむね1時間圏)
月に一度でも様子を見に行けるなら、郵便物や庭木など、目に見える管理は比較的続けやすい距離です。
ただし「いつでも行ける」がゆえに判断が止まりやすいので、確認した内容を家族で共有する仕組みを作っておくと進みます。
少し足を延ばす距離(片道2時間前後)
行けなくはないものの、毎週は難しい距離です。
現地に行く前に、登記や写真で分かることを先に整理しておくと、一回の訪問で確認できることが増えます。
同じ一都三県でも遠く感じる場合
仕事や介護で時間が取りにくいと、近くても遠く感じます。
その場合は、現地に行かずに整理できることから始めて大丈夫です。
遠方の実家の進め方は、遠方の実家を管理しきれないときの判断順も参考になります。
確認しておきたい制度(断定はせず、専門家確認を前提に)
親の家のこれからを考えるとき、知っておくと判断しやすい制度がいくつかあります。
ただし、相続・登記・税務の具体的な扱いは個別事情で変わるため、最終的には司法書士・税理士などの専門家への確認が必要です。
ここでは「こういう制度がある」という入口だけを整理します。
相続登記の義務化
2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務づけられました。
正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になり得ます。
制度開始より前に相続した分についても、2027年3月31日までに登記をする必要があるとされています。
(参照元:法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」、いずれも2026年6月24日確認)
相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除
一定の要件を満たすと、相続した空き家を売ったときの譲渡所得から、最高3,000万円を控除できる特例があります。
対象は、昭和56年5月31日以前に建築された家とその敷地などで、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが条件です。
この特例自体が、令和9年(2027年)12月31日までの売却を対象としています。
なお、令和6年1月1日以後の売却で、その家・敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、控除額は最高2,000万円までになります。
(参照元:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、2026年6月24日確認)
空き家を放置したときの扱い
2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法では、「管理不全空家」という区分が新たに設けられました。
窓ガラスの破損や雑草の繁茂などで、将来「特定空家」になるおそれが高いと判断され、市区町村から勧告を受けると、土地の固定資産税を軽くする住宅用地特例が外れる場合があります。
これは「急いで売らないと損」という話ではなく、最低限の管理は必要だという意味として受け止めるのが適切です。
(参照元:政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化」、国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」、いずれも2026年6月24日確認)
家族で共有したい3点
離れて暮らす家族と話すときは、論点を絞ると伝わりやすくなります。
次の3点だけ、まず共有してみてください。
一つ目は、親の家がどの自治体にあり、名義と築年がどうなっているかという「事実」。
二つ目は、誰がいちばん家に近く、誰が窓口役になれそうかという「役割の見当」。
三つ目は、今は結論を出さず、次に何を確認するかという「次の一歩」。
この3点なら、売る・売らないの対立になりにくく、最初の共有に向いています。
片付け前・相続前・家族未相談でも、相談できます
「片付けが終わってから」「相続が済んでから」「家族で話がまとまってから」と思って、相談を先延ばしにしている方は少なくありません。
ですが、その順番は逆でも大丈夫です。
荷物が残ったままでも、名義の整理が済んでいなくても、家族にまだ切り出せていなくても、今の状況を整理する相談はできます。
むしろ、片付けや売却に動く前に方向性を整理しておいたほうが、無駄な動きを減らせる場合があります。
相続前にできる確認は、相続前に親の家のことで確認しておきたいことにもまとめています。
相談前のチェックリスト
相談の前に、分かる範囲で次の項目に目を通しておくと、話がスムーズになります。
すべて埋まっていなくても問題ありません。
- 親の家がある都県・市区町村(正確な所在地)
- 家族それぞれの住まいと、平日に動ける人
- 建物の名義・おおよその築年
- 前面道路の様子や、再建築できそうかの感触
- 固定資産税の通知書が手元にあるか
- 今いちばん引っかかっている点(お金・家族・手間など)
「近いのに止まっていた」家族の例
相談の現場では、距離が近いからこそ判断が止まっていた、という家族によく出会います。
たとえば、親が千葉、子ども三人が東京・神奈川・埼玉に分かれて暮らしていたあるご家族では、誰もが「近いから自分が行かなくても誰かが行く」と思っていました。
その結果、空き家になってから二年近く、家の名義も築年も誰も正確に把握していない状態が続いていたそうです。
動き始めたきっかけは、長女の方が登記事項証明書を一通取り、名義と築年を一枚にまとめて家族のメッセージグループに送ったことでした。
事実が共有されると、「では次にどこを見るか」という具体的な話に変わり、売る・貸す・保留を落ち着いて比べられるようになった、という流れです。
特別なことをしたわけではなく、最初に「事実を一枚にまとめた」だけです。
近さに甘えて止まっていたものを動かすのは、たいてい、この小さな一歩です。
(事例はプライバシー保護のため、内容を一般化し、地域・人物が特定されない形にしています。)
まとめ:一都三県の親の家は、近いうちに「整理」だけ先に
一都三県に親の家があり、家族も近くに分散していると、「近いからいつでもできる」という安心が、かえって判断を止めてしまいます。
けれども、今日から売る・売らないを決める必要はありません。
まず「どの自治体にあるか」「誰がどこに住んでいるか」「家の基本情報がどこまで分かるか」を一枚にまとめるだけで、家族の話し合いは大きく前に進みます。
片付け前でも、相続前でも、家族にまだ話していなくても、整理は先に始められます。
一都三県という距離の近さは、本来、選択肢を残したまま動ける強みです。
その強みを活かすために、まずは状況の整理から始めてみてください。
一都三県の親の家を、売る前に整理する
一都三県にある親の家を、売る前に整理することから始めましょう。
30秒で親の家の状況を入力すると、今の状況と次に確認すべきことが整理できます。
売るかどうかは、今決めなくて大丈夫です。
松戸・東葛エリアを中心に、一都三県の親の家について、片付け前・相続前・家族未相談のままでも相談できます。
地域ごとの相談の入口は、松戸・東葛の親の家これから相談室からも確認できます。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.親の家が東京・神奈川・埼玉・千葉のどれかにあります。どの自治体で調べればいいですか?
Q.家族が一都三県にバラバラに住んでいて、誰が動くか決まりません。
Q.一都三県は空き家率が低いと聞きました。急がなくても大丈夫ですか?
Q.まだ親が元気で、家にも住んでいます。それでも相談できますか?
Q.相続登記や税金のことも、この相談で決められますか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、売る前の状況整理からご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
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更新日:2026年6月15日