親の家のこと、まず何から整理するべきか
まず確認したいこと
何から、と迷う今は、決める前に並べて順番をつける段階です。
親の家のことで「何から手をつければいいか分からない」と固まるのは、心配ごとが一つの山になっているからです。情報・期限・担当の3つの仕分けと、5つの論点マップで考える順番を整える方法を、公的情報をもとにまとめました。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年6月18日
読了目安
約13分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
頭の中に、「片付け」「相続」「兄弟に連絡」「固定資産税」「そもそも売るのか」が、いっぺんに浮かんでくる。
ひとつずつなら考えられそうなのに、全部が同時に押し寄せると、どれから手をつけていいか分からなくなって固まってしまう。
そうやって「親の家 何から」と検索して、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
先にお伝えしたいことがあります。
「何から」で迷っている今は、何かを決める段階ではなく、まず並べて順番をつける段階です。
やることが多いから動けないのではありません。
やることが「ひとつの山」になっていて、入口が見えないだけです。
この記事では、何を決めるべきかではなく、考える順番(地図)の作り方をお伝えします。
この記事を読むと、次の3つが見えてきます。
- 頭の中の心配ごとを、どう仕分ければ動き出せるか
- 親の家にまつわる論点が、全部でいくつの領域に分かれるのか
- 「売る・貸す・管理・保留」をいつ考えればいいのか
読み終わる頃には、今日できる最初の一歩が選べる状態になっているはずです。
この記事の結論:決める前に「並べて順番をつける」
結論から書きます。
親の家のことは、最初に答えを決めるのではなく、論点を全部書き出して並べ、順番をつけるところから始めると、ぐっと進みやすくなります。
多くの人が「何から」で止まるのは、頭の中で複数の心配ごとが団子になっているからです。
片付けの心配も、お金の心配も、兄弟への遠慮も、同じ重さで同時に浮かぶので、脳が処理しきれずに先送りしたくなります。
だから最初の作業は、決断ではありません。
団子になった心配ごとを、いくつかの「領域」と「順番」にほどいていくことです。
これは家族に話す前に、あなた一人でも始められます。
順番をつけると言っても、難しいルールはいりません。
「これは今すぐ」「これは来月でいい」「これはいつでもいい」と、ざっくり3段階に振り分けるだけで十分です。
完璧な計画を立てようとせず、まず大きく分けることを優先してください。
なぜ「何から」で固まってしまうのか
心配ごとが、同時にやってくるから
親の家の問題が厄介なのは、性質の違う心配が一度に来ることです。
「荷物をどうするか」は手と体力の問題、「名義はどうなっているか」は書類の問題、「兄弟がどう思うか」は気持ちの問題です。
これらは本来、別々に考えるべきものです。
それなのに「実家のこと」という一語でまとめてしまうと、種類の違う重さが全部のしかかってきます。
「正解がひとつある」と思ってしまうから
もうひとつの理由は、最初から「正しい順番」や「正解の結論」を出そうとしてしまうことです。
でも、親の家にまつわる答えは、家の状態・家族の事情・親の年齢によって変わります。
先に正解を探すより、今わかる材料を並べてみるほうが、結果的に早く前に進めます。
「何がわからないのかを整理すること」も、立派な前進です。
正解を一度に出そうとすると、足りない情報が気になって動けなくなります。
逆に、わかる範囲で並べてみると、次に何を調べればいいかという小さな問いに変わります。
大きな決断は、小さな確認の積み重ねの先に、自然と見えてくるものです。
最初にやる、3つの仕分け
論点を一気に解こうとせず、まずは3つの軸で仕分けるだけにします。
この3つは、親の家がどんな状態でも、また売る気があるかどうかに関わらず、共通で使える「最初の地図」です。

1. 情報を分ける(わかっていること/わからないこと)
まず、紙やスマホのメモを縦に2列に分けます。
左に「今わかっていること」、右に「まだわからないこと」を書き出します。
たとえば「築年数はだいたい分かる」は左、「名義が誰かは知らない」は右、という具合です。
この作業の目的は、答えを出すことではありません。
「自分は何を知らないのか」をはっきりさせることです。
わからないことが見えれば、それがそのまま「次に調べること」のリストになります。
2. 期限を分ける(急ぐもの/急がないもの)
次に、書き出した項目を「期限があるもの」と「いつでもいいもの」に分けます。
たとえば雨漏りや屋根の傷みは、放っておくと家の傷みが進むので期限がある側です。
一方で「最終的に売るか貸すか」という方向は、今日決めなくてもかまいません。
期限のあるものから手をつけると、気持ちが「全部やらなきゃ」から「まずこれだけ」に変わります。
3. 担当を分ける(ひとりでできる/家族に聞くこと)
最後に、「自分ひとりで確認できること」と「家族に聞かないと進まないこと」を分けます。
名義や固定資産税の書類の確認は、多くの場合ひとりでも進められます。
「この家をどうしたいか」という気持ちの部分は、いずれ家族と話す領域です。
この線を引いておくと、「家族に話せていないから何もできない」という思い込みから抜け出せます。
親の家の「論点マップ」——5つの領域に分けて見る
3つの仕分けで頭が少し軽くなったら、次は論点そのものを地図にします。
親の家にまつわる心配は、ばらばらに見えても、だいたい次の5つの領域に収まります。

5つに分けるだけで、「全部いっぺん」だった不安が「5つのうちのどれか」に変わります。
それぞれの領域で、まず見ることと、今は決めなくていいことを表に整理しました。
領域 | まず見ること | 今は決めなくていいこと |
|---|---|---|
片付け・荷物 | 重要書類(通帳・権利証・保険証券)がどこにあるか | 全部を片付け終えること |
名義・相続 | 登記上の名義が誰か、相続が発生しているか | 相続や登記の最終判断を一人で下すこと |
お金・維持費 | 固定資産税の通知書、火災保険の年額 | 売却価格やリフォーム費用の見積もり |
管理・防犯 | 最後に現地を見た時期、郵便や庭の状態 | 管理をこの先ずっと続けるかどうか |
方向(売る・貸す・管理・保留) | 家族の誰が、どの方向を気にしているか | どの方向にするかの結論 |
表を見るとわかるように、「まず見ること」はどれも調べれば分かる事実ばかりです。
反対に「今は決めなくていいこと」は、材料がそろってから家族と考えればいい部分です。
事実集めと、決断とを混ぜないことが、固まらないためのコツです。
今すぐ決めなくていいこと
順番をつける段階では、次のことはいったん脇に置いて大丈夫です。
- 売るかどうか、売るならいつか
- 片付けをすべて終わらせること
- 家族全員の結論を先に出すこと
- 不動産会社に査定を依頼すること
- 相続や登記の判断を、自分だけで決めること
これらは「いつかは考えること」ではありますが、「今日いちばん最初に決めること」ではありません。
先に決めようとするほど、かえって手が止まります。
今やるのは、決断ではなく地図づくりです。
売る・貸す・管理・保留は、いちばん最後に並べる
「結局どうするのか」という方向の話は、地図ができた最後に考えれば十分です。
そして方向を考えるときも、いきなり「売るか売らないか」の二択にしないことが大切です。

方向は、次の4つを同じテーブルに対等に並べると考えやすくなります。
選択肢 | どういう道か | 向きやすいケース |
|---|---|---|
売る | 手放して現金化し、管理から解放される | 誰も住む予定がなく、維持負担を減らしたい |
貸す | 所有したまま活用し、収入を得る | 立地がよく、建物がまだ使える状態 |
管理する | 持ち続けて、最低限の維持をする | 将来使う可能性があり、当面は手放したくない |
保留する | 結論を出さず、様子を見る | 家族の気持ちや状況がまだ固まっていない |
大事なのは、「保留する」も立派な選択肢だということです。
決めないことを後ろめたく感じる必要はありません。
4つを並べて「今はどれが気になっているか」を確かめるだけで、方向の話は十分に前進します。
地図を描きやすくする、制度と数字
地図を描くとき、背景にある制度や数字を少し知っておくと、優先順位がつけやすくなります。
ここでは公的な情報をもとに、知っておくと役立つものだけをまとめます。
親の家で止まっているのは、あなただけではない
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月時点)によると、全国の空き家は900万2千戸と過去最多、空き家率は13.8%と過去最高でした。
このうち、賃貸用や別荘などを除いた、いわば行き先が決まっていない空き家は385万6千戸にのぼります(参照元:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」、2026年6月18日確認)。
これは「だから急いで売りましょう」という話ではありません。
多くの家が、結論を待ったまま止まっているという事実です。
名義の確認と、相続登記の期限
「名義・相続」の領域では、まず登記上の名義が誰かを確認するのが出発点になります。
名義は、法務局で取れる登記事項証明書(登記簿謄本)で確認できます。
手数料は、2025年4月1日の改定後、書面請求が1通600円、オンライン請求は送付で520円、登記所窓口での受取で490円です(参照元:法務省「登記手数料について」、2026年6月18日確認)。
そして、相続ですでに名義を引き継いでいる場合は、相続登記の期限に注意が必要です。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になることがあります(参照元:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」、2026年6月18日確認)。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日までとされています。
遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記という簡易な手続きでいったん義務を果たす方法もあります。
ただし、登記や相続の個別判断は状況によって変わるため、最終的には司法書士など専門家への確認が必要です。
「持ち続ける」ときにかかるお金
「お金・維持費」の領域では、固定資産税の仕組みを知っておくと判断がしやすくなります。
人が住む住宅の土地には住宅用地特例があり、小規模住宅用地(1戸あたり200平方メートル以下の部分)は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されます。
ただし、空家等対策の特別措置法にもとづいて市区町村から勧告を受けた特定空家等や管理不全空家等の敷地は、この住宅用地特例の対象から外れる場合があります(参照元:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」、2026年6月18日確認)。
これは「放置すると税金が上がる」と脅すための情報ではなく、管理という領域に期限の感覚を持っておくための材料です。
将来「売る」を選ぶときの特例
方向として将来「売る」を選ぶ場合に備えて、知っておくとよい税の特例があります。
相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除で、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
対象は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋とその敷地などで、適用できる売却の期間は2016年4月1日から2027年12月31日までとされています(参照元:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、2026年6月18日確認)。
適用には市区町村が交付する確認書など細かい要件があり、使えるかどうかは状況によって変わります。
今すぐ判断する必要はありませんが、「古い家だから価値がない」と決めつける前に、こうした制度があることだけ頭の隅に置いておくと安心です。
家族に共有するなら、この3点だけ
地図ができたら、家族に共有しておくと、その後の話し合いがぐっと楽になります。
長い説明はいりません。
次の3点だけ伝われば十分です。
- 今は売るかどうかを決める段階ではなく、状況を整理している段階だということ
- 片付け・相続・お金・管理・方向の5つを、順番に見ていけばいいこと
- 結論より先に、まず事実(名義や維持費)をそろえると話が進めやすいこと
この3点は、兄弟姉妹に転送してもらっても角が立たない内容です。
「誰かが勝手に売ろうとしている」という誤解を生まないためにも、整理から始めると伝えておくと安心です。
このような状態でも相談できます
「もっと片付いてから」「家族で話がまとまってから」と思って、相談をためらう必要はありません。
次のような状態でも、状況整理からの相談ができます。
- 片付けが全く手つかずで、荷物が残ったままの家
- 相続がまだで、名義も確認できていない
- 家族にまだ何も話していない
- 親がまだ住んでいる、または施設に入ったばかり
- 遠方にあって、最近現地を見ていない
- 売るかどうか、まったく決めていない
むしろ「何から手をつければいいか分からない」という段階こそ、一緒に地図を描く相談に向いています。
一都三県・松戸や東葛で「入口がわからない」とき
東京・神奈川・埼玉に住みながら、千葉の松戸や東葛エリアにある親の家のことを気にかけている、という方は少なくありません。
「いつか考えなきゃ」と思いつつ、どの入口から入ればいいか分からず、年単位で止まってしまう。
これは距離の問題というより、「最初の一歩が見えない」という入口の問題です。
松戸・柏・流山・市川・船橋・我孫子・野田・鎌ケ谷といった東葛エリアは、古くからの住宅地と比較的新しい住宅地が混ざり、家ごとに事情が大きく違います。
だからこそ、一般論ではなく、その家の状況に合わせて地図を描くことが役に立ちます。
地域の事情を踏まえた相談については、松戸・東葛の親の家相談についてもあわせてご覧ください。
相談前チェックリスト
相談や家族との話し合いの前に、次の項目をわかる範囲でメモしておくと、整理が一気に進みます。
全部埋まっていなくて大丈夫です。
- 親の家の所在地(市区町村まででも可)
- 戸建て・マンション・土地などの種類
- 登記上の名義が誰になっているか(不明でも可)
- 親が今住んでいるか、施設に入っているか
- 片付けの状況(手つかず/一部済み)
- 固定資産税の通知書が手元にあるか
- 兄弟姉妹など、関係する家族がいるか
- 5つの領域のうち、今いちばん気になっているのはどれか
- まだ売る気はないが、先に整理したいのか
この中で埋まらなかった項目が、そのまま「次に確認すること」になります。
まとめ:何からでも、まず並べることから
親の家のことで「何から」と固まってしまうのは、やる気や段取りの問題ではありません。
性質の違う心配が、ひとつの山になっているだけです。
まずは情報・期限・担当の3つで仕分け、次に5つの領域に分けて、事実だけを集める。
売る・貸す・管理・保留という方向は、地図ができた最後に並べれば十分です。
今日できる最初の一歩は、決断ではなく、頭の中をことばにして並べてみることです。
関連する整理のしかたは、相続前に親の家のことで確認しておきたいこと、親の家を売るか残すか迷ったときの考え方、兄弟で実家の話が進まないとき、最初にそろえる情報もあわせて読むと、地図がより描きやすくなります。
何から手をつけるか迷ったままでも、今の状況を一度ことばにしてみる。
それがいちばん軽い、最初の一歩です。
今すぐ売る必要はありません。
まずは30秒で、親の家の状況を整理してみませんか。
片付け前、相続前、家族にまだ話していなくても大丈夫です。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.親の家のこと、まず何から始めればいいですか?
Q.片付けが終わっていなくても相談できますか?
Q.家族にまだ話していないのですが、先に整理してもいいですか?
Q.売るかどうかは、いつ決めればいいですか?
Q.相続登記や税金のことは、自分で判断していいですか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、売る前の状況整理からご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理売却前提なし。相談だけでも大丈夫です。
関連ガイド

相続前に親の家のことで確認しておきたいこと
相続前でも、親の家について確認できることはあります。名義の確認方法、相続登記義務化(2027年3月期限)、空き家の3,000万円特別控除の要件まで、いま整理すべきことを公的情報に基づいて解説。売るかどうかは決めなくて大丈夫です。
公開日:2026年6月7日
更新日:2026年6月15日

親の家を売るか残すか迷ったときの考え方
親の家を売るか残すか迷ったら、売る・貸す・管理・保留の四択で比較を。気持ちとお金の論点の分け方、維持費の確認方法、相続登記義務化や3,000万円特別控除の期限まで公的情報に基づき解説。今決めなくて大丈夫です。
公開日:2026年6月8日
更新日:2026年6月15日

兄弟で実家の話が進まないとき、最初にそろえる情報
兄弟で実家の話が進まない方へ。売る・残すの結論を急ぐ前に、名義、片付け、管理負担、親の意向、家族の関わり方を整理しましょう。片付け前・相続前・家族未相談でも、親の家の状況整理から相談できます。
公開日:2026年5月25日
更新日:2026年6月15日