親が施設に入った後、誰も住まない実家の管理チェックリスト
まず確認したいこと
売却より先に、電気・保険・郵便・見回りの4点を確認すれば安心です。
親が施設に入り、実家に誰も住まなくなった場合、電気・水道・火災保険・郵便物・見回りを順に確認すれば、多くのトラブルは防げます。売る・貸す・管理を続けるかは、確認が終わってから家族で考えても間に合います。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年7月22日
読了目安
約14分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
親の施設入居の手続きがひと通り終わった帰り道、車のキーホルダーに実家の鍵がまだ付いたままだと気づくことがあります。
誰も住まなくなった家に、この先どう関わっていけばいいのか、そこまではまだ考えられていない方も多いのではないでしょうか。
電気やガス、水道をどうするか、郵便物はどこに届くのか、庭木は誰が見るのか。
ひとつひとつは小さなことのようで、決めないまま数か月が過ぎてしまうことも少なくありません。
この記事では、実家を売却や活用を考える段階提の「空き家」としてではなく、親が施設から戻る可能性がある「管理が必要な家」として扱い、今すぐ確認したほうがよいことと、まだ急がなくてよいことを整理します。
売るかどうかは、今決めなくて大丈夫です。
この記事でわかることは主に3つです。
- 誰も住まない実家で、今すぐ確認したほうがよいこと
- 電気・水道・火災保険・郵便物など、項目ごとの考え方
- 見守りサービスやシルバー人材センターなど、頼れる先の費用感
実家をどうするかの選択肢を全体から整理したい場合は、親が施設に入った後の家、どうするかの全体地図もあわせてご覧ください。
この記事の結論
結論から言うと、誰も住まない実家がある場合にまず必要なのは、売却や解体の判断ではなく、今の状態を安全に保つための小さな確認です。
火災保険の契約内容、郵便物の行き先、水道やガスの扱い、庭木や建物の見回りの担当。
この4つを確認しておくだけで、空き家化にともなう大きなトラブルの多くは防げます。
売る・貸す・管理を続ける・しばらく保留するという選択は、家族で状況を整理してから、落ち着いて決めても遅くありません。
なぜ「誰も住まない実家」の管理が止まりやすいのか
親が施設に入所した直後は、契約や費用、面会や通院の付き添いなど、目の前の対応で手一杯になりがちです。
実家のことは「落ち着いたら考えよう」と後回しにされやすく、そのまま数か月、数年が過ぎてしまうケースも珍しくありません。
さらに、実家をどうするかは家族の中でも意見が分かれやすいテーマです。
まだ売る話はしたくない気持ちと、管理費や税金の負担が気になる気持ちが同時にあり、結論を出しにくくなります。
加えて、親がまだ存命で判断能力もある場合、家の名義や処分の話を本人に切り出しにくいという事情も、管理の先送りに拍車をかけます。
ここで大切なのは、売る・売らないを決めることと、家を安全に保つことを分けて考えることです。
管理の話は、売却の話をしなくても進められます。
「まだ何も決めていない」状態のまま、電気・水道・保険・郵便物だけ先に確認しておく、という進め方でまったく問題ありません。
まず確認すること3つ
実家をどうするか結論を出す前に、まず確認しておきたいことが3つあります。
1. 電気・ガス・水道をどこまで止めるか
完全に停止するのか、必要な分だけ契約を残すのかを決める必要があります。
2. 火災保険が「空き家」の状態に対応しているか
加入している保険が、人が住んでいない前提の契約になっているかどうかは、契約時と状況が変わっていれば見直しが必要です。
3. 郵便物と建物・庭木の見回りを誰が、どのくらいの頻度で行うか
担当者と頻度が決まっていないと、変化に気づくのが遅れてしまいます。

今すぐ決めなくていいこと
- 売るかどうか
- いつ売るか、貸すか
- 実家の名義や相続の手続き(親が存命の間は急ぎません)
- 家財をすべて片付けること
- 解体するかどうか
親が施設から自宅に戻る可能性がゼロではない場合は、なおさら急いで結論を出す必要はありません。
まずは今の状態を維持しながら様子を見るという選択肢があることを、家族で共有しておくだけでも十分です。
電気・ガス・水道、どこまで止めるか
誰も住まなくなった実家でも、電気・ガス・水道をすべて解約してよいとは限りません。
今後片付けや見回りで訪れる予定があるか、庭の水やりが必要かなどによって、判断が変わります。
項目 | 完全に解約する場合 | 基本契約だけ残す場合 |
|---|---|---|
電気 | 基本料金はかからないが、再開時に立会い契約が必要になることがある | 基本料金はかかるが、換気や照明の確認にすぐ使える |
ガス | 基本料金は発生しない | 都市ガスは開栓時の立会いが必要になることが多い |
水道 | 基本料金は発生しないが、庭木への水やりや清掃時に使えない | 基本料金はかかるが、通水による配管の劣化防止につながる |
松戸市の水道は、使用を中止する場合、住所・使用者名・中止日・連絡先を伝えたうえで、精算の手続きが必要です(参照元: 松戸市「水道の使用開始・中止について」、2026年7月21日確認)。
どちらが正解ということはなく、片付けや見回りの頻度に合わせて選ぶのが現実的です。

火災保険は空き家のままで大丈夫か
実家がもともと加入していた火災保険は、家族が住んでいることを前提にした住宅物件向けの契約になっていることがほとんどです。
誰も住まなくなった状態が続くと、契約上は一般物件としての扱いに変わり、保険会社への申告や契約内容の見直しが必要になる場合があります。
申告をしないまま放置すると、万一の火災や台風被害の際に、保険金が支払われない、あるいは減額されるおそれがあります。
まずは加入している保険会社や代理店に、実家が誰も住んでいない状態であることを伝え、契約内容を確認することから始めてください。
保険料や補償内容は保険会社ごとに異なるため、この記事では断定はせず、契約中の保険会社への確認をおすすめします。
あわせて、空き家の老朽化による倒壊などで近隣に損害を与えた場合の賠償に備える特約を用意している保険会社もあります。
特約の有無や内容も保険会社によって異なるため、契約時にあわせて確認しておくと安心です。
郵便物をどう扱うか
実家の郵便受けに、税金の通知や公共料金の請求、地域のお知らせなどが溜まっていくと、重要な書類を見落とすおそれがあります。
日本郵便では、郵便局窓口・ポスト投函・e転居のいずれかで転居届を提出すると、届出日から1年間、旧住所あての郵便物を新しい住所へ無料で転送してくれるサービスがあります(参照元: 日本郵便株式会社「転居・転送サービス」、2026年7月21日確認)。
転送期間は届出日から1年間で、期間が過ぎると差出人に郵便物が返還されるため、必要であれば期限が来る前に再度手続きをする必要があります。
提出の際には本人確認が行われるため、親本人が手続きできない場合は、誰がどのように申請できるか、郵便局に事前に確認しておくと安心です。
親が実家に戻る可能性を残しておきたい場合は、完全な転送ではなく、家族が定期的に郵便受けを確認する体制を整える方法もあります。
庭木・建物の見回りを誰が担うか
誰も住まない家は、屋外の異変に気づく人がいないという点が、最大のリスクになります。
庭木の伸びすぎ、外壁や雨どいの破損、不法投棄やごみの散乱は、近隣とのトラブルにつながりやすい代表的な例です。
見回りの担い手は、大きく分けて家族による巡回、地域のシルバー人材センター、民間の空き家管理サービスの3通りがあります。
頻度の目安としては、月1回程度の見回りがあれば、破損やごみの散乱といった変化には比較的気づきやすくなります。
ただし、これは一般的な目安であり、家の立地や築年数によって必要な頻度は変わります。
担い手 | できること | 費用の目安 |
|---|---|---|
家族による定期訪問 | 建物・庭の目視確認、郵便物の回収 | 交通費・時間のみ |
民間の空き家管理サービス | 月1回の巡回、破損・不法投棄の有無をメールで報告、郵便物の整頓 | 月額7,700円(税込)から(ALSOKの例) |
シルバー人材センター | 庭木の剪定・除草など単発の軽作業 | 1時間あたり1,254円から(柏市の例、内容により変動) |
民間の空き家管理サービスの料金は、ALSOKの「るすたくサービス」の場合、見回りと郵便物整頓を含む基本サービスが月額7,700円(税込)からとなっています(参照元: ALSOK「HOME ALSOK るすたくサービス」、2026年7月21日確認)。
シルバー人材センターは、巡回そのものより庭木の剪定や除草といった単発の軽作業を依頼する形が中心で、柏市シルバー人材センターの受注単価表では、軽作業が1時間あたり1,254円からとなっています(参照元: 公益社団法人柏市シルバー人材センター「各料金表」、2026年7月21日確認)。
費用や対応内容は事業者や地域、時期によって変わるため、実際に依頼する際は最新の料金表や窓口で確認してください。

空き家を放置すると何が変わるのか
管理不全空家・特定空家に認定されると
「そのうち考えよう」と管理を先送りにした場合、何が変わるのかも知っておくと、判断の材料になります。
2023年の法改正で、空家等対策の推進に関する特別措置法に「管理不全空家」という区分が新設されました(参照元: 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」(取材協力: 国土交通省)、2026年7月21日確認)。
この改正は令和5年12月13日に施行されています(参照元: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」、2026年7月21日確認)。
放置すれば倒壊など著しく保安上危険な状態になるおそれがある空き家は「特定空家」に、そうなる手前の段階で管理が不十分な空き家は「管理不全空家」に、それぞれ市区町村から認定される場合があります。
指導しても状態が改善しない場合、市区町村は勧告を行うことができ、勧告を受けると、固定資産税・都市計画税を軽減する住宅用地の特例の対象から外れます。
小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)は、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されていますが、特例が外れるとこの軽減がなくなります。
命令に従わない場合は、50万円以下の過料が科されることもあります(同上、政府広報オンライン)。
ここで大切なのは、今すぐ特定空家に指定されるという話ではないということです。
指導や勧告という段階を踏むため、日頃から庭木の手入れや見回りを続けていれば、多くの場合は防げます。
過度に恐れる必要はありませんが、放置し続けた場合に何が起こり得るかを知っておくことは、判断の助けになります。
将来、売る場合に知っておきたい税の入り口
今は売る予定がなくても、将来的に実家を売却する可能性がある場合、税制の入り口だけ知っておくと安心です。
親が老人ホームなどに入所したことで空き家になった家を、相続後に売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(参照元: 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、2026年7月21日確認)。
親が施設に入所していた場合の主な要件は、入所の直前まで一人で住んでいたこと、入所からその後の相続開始まで施設が主な生活の場所であったこと、その間に家を事業用・貸付用・他の人の居住用に使っていないことなどです(参照元: 国税庁「No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」、2026年7月21日確認)。
対象になるのは昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、令和9年(2027年)12月31日までに売却する必要があります。
この特例の詳しい要件や、相続税の小規模宅地等の特例との違いについては、親が老人ホームに入ったら、実家の税金はどうなるかで整理しています。
税金の判断は、家族の状況や家の履歴によって適用できるかどうかが変わるため、この記事では断定せず、税理士など専門家への確認をおすすめします。
売る・貸す・管理・保留をどう考えるか
実家の今後には、大きく分けて売る・貸す・管理を続ける・今は保留するという4つの方向性があります。
選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
売る | 親が家に戻る可能性が低く、管理の負担を減らしたい場合 | 親の意向や名義の確認が必要 |
貸す | 家の状態がよく、将来手放す判断を保留したい場合 | 賃貸に出す前の修繕やリスクの整理が必要 |
管理を続ける | 親が家に戻る可能性がある、家族の思い入れが強い場合 | 見回り・保険・光熱費などの負担が継続する |
今は保留する | まだ結論を出す材料がそろっていない場合 | 先延ばしにしすぎると管理不全のリスクが上がる |
どれかひとつが正解というわけではなく、親の意向や家族の状況によって、優先順位は変わります。
今の時点で結論を出せなくても、選択肢を並べて見えるようにしておくだけで、家族で話すときの材料になります。
施設入居後の実家を売るべきか、保留すべきか具体的に迷っている場合は、施設入居後の実家、売るべきか保留すべきかで詳しく整理しています。
家族に共有するなら、この3点だけ
- 電気・水道・火災保険・郵便物、それぞれ今どうなっているか
- 見回りを誰が、どのくらいの頻度でしているか
- 売る・貸す・管理・保留のどれかを、今すぐ決める必要はないこと
この記事が家族に転送されることを前提に、誰かを責める内容ではなく、現状の共有として使ってください。
このような状態でも相談できます
- 実家がまだ片付いていない
- 親が施設に戻る可能性を残したまま、管理だけ整理したい
- 家族の中でまだこの話をしていない
- 売る・貸すのどちらにするか決めていない
- 火災保険や水道の手続きが済んでいない
- 遠方に住んでいて、頻繁に見に行けない
相談イコール売却の話ではありません。
今の状態を整理するだけの相談も、もちろん対応しています。
「相談したら売却を勧められるのでは」と身構える必要はありません。
地域文脈|松戸・東葛で「戻れる距離」だからこそ起きること
松戸・柏・流山・市川・船橋・鎌ケ谷・我孫子・野田などの東葛エリアは、都心から電車で30〜60分程度の距離にある地域が多く、完全な遠方ではないという特徴があります。
この行けなくはない距離が、かえって管理の先送りを招くことがあります。
今度の週末に行けばいいと思いながら、数か月見に行けていない、という状況は珍しくありません。
令和5年住宅・土地統計調査によると、千葉県の空き家数は39万4,100戸、空き家率は12.3%で、松戸市は3万7,370戸、空き家率14.0%となっています(参照元: 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 確報集計結果」、2026年7月21日確認)。
全国の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%と、いずれも過去最多となっています(参照元: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」、2026年7月21日確認)。
常磐線や東武アーバンパークラインの沿線には、庭木のある戸建てや古い団地が多く、建物だけでなく庭の管理も課題になりやすい地域です。
駅からの距離によって、見回りの頼みやすさや家の選択肢も変わってきます。
詳しくは常磐線沿線(松戸・柏・我孫子)の古い実家、駅距離で変わる選択肢で整理しています。
市によっては、空き家に関する相談窓口や補助制度を独自に設けているところもあります。
お住まいの市の窓口や補助制度については、東葛エリアの空き家、市ごとの補助金・解体助成・相談窓口まとめもあわせてご確認ください。
施設費と実家の維持費、両方の負担が気になる場合は、親の施設費と実家の維持費、二重の負担をどう整理するかも参考にしてください。
相談前チェックリスト
- 実家の所在地、戸建てかマンションか
- 親が施設に入所した時期、自宅に戻る可能性があるか
- 電気・ガス・水道が今どうなっているか
- 火災保険の契約内容を確認したか
- 郵便物の転送手続きをしたか
- 見回りを誰が、どのくらいの頻度でしているか
- 片付けの状況
- 家族で実家のことを話しているか
- 名義が誰になっているか
- 売る・貸す・管理・保留のどれが気になっているか
まとめ
誰も住まない実家があるとき、最初に必要なのは売却の決断ではなく、電気・水道・火災保険・郵便物・見回りという、身近な項目をひとつずつ確認することです。
売る・貸す・管理を続ける・保留するという選択は、確認が終わったあとで、家族と一緒に落ち着いて考えれば十分間に合います。
今すぐ売る必要はありません。
まずは30秒で、親の家の状況を整理してみませんか。
片付け前、相続前、家族未相談でも大丈夫です。
親の家の相談ガイド一覧はこちら、松戸・東葛の親の家相談については親の家これから相談室 松戸・東葛をご覧ください。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.誰も住まない実家は、すぐに火災保険を解約すべきですか?
Q.電気・ガス・水道はすべて止めてしまってよいですか?
Q.家族が誰も近くに住んでいなくても管理できますか?
Q.実家がまだ片付いていなくても相談できますか?
Q.親が施設から自宅に戻る可能性がある場合、家はどうすればいいですか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、今の状況からお気軽にご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理何も決まっていない段階でも、相談だけでも大丈夫です。
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