親が住まなくなった家、どうするか決める前に確認したいこと
まず確認したいこと
売る・貸すは今すぐ決めなくて大丈夫です。まず家の状態を確認しましょう。
親が入院や介護をきっかけに実家を離れ、そのままになっている場合、売るか貸すかをすぐに決める必要はありません。家が今どんな状態で止まっているかを確認し、今決めることと後回しにしてよいことを分けて整理すれば、判断は家族の状況が見えてから進められます。
著者・編集
親の家これから相談室 編集部
確認
株式会社ホームセレクション(親の家・空き家相談窓口)
更新日
2026年7月24日
読了目安
約13分

まず確認すること
今の名義が誰になっているか
家族の中で誰が関わるか
片付け・管理・相続のどれが先か
母が転倒して入院してから、もう三か月が経つ。
退院のめどはまだ立たず、当面は「兄の家で様子を見る」ということになった。
実家の鍵だけを預かったものの、何をどうすればいいのかがわからない。
新聞は止めるべきか、電気は止めていいのか、郵便物はどうすればいいのか。
そんな小さな判断が、次々と降りかかってくる。
「施設に入る」とはっきり決まったわけでもないのに、実家のことを考えるのは気が早い気がする。
そう感じている方は、決して少なくありません。
この記事では、実家がすでに空き家になった後の対処法ではなく、まだ「空き家」と呼べるのかどうかもわからない段階で、何を確認し、何を保留してよいのかを整理します。
売る・貸すをどうするかを、今すぐ決める必要はありません。
まずは、今の家の状態を確認するところから始めれば十分です。
この記事の結論
親が入院・介護・施設検討などのきっかけで実家を離れ、そのままになっている場合、売るか貸すかをすぐに決める必要はありません。
まず確認したいのは、家が今どういう状態で止まっているかということと、今すぐ判断が必要なことと、しばらく保留してよいことの線引きです。
結論を急いで出すよりも、状況を整理してから進めるほうが、後で家族の間に無理が出にくくなります。
売る・貸す・管理を続ける・そのまま保留する、という選択肢はすべて残っているので、焦って一つに絞り込む必要はありません。
なぜ「住まなくなったばかりの家」は判断に迷いやすいのか
親が施設にはっきり入居した場合であれば、「施設入居後の家をどうするか」という形で情報を探すことができます。
しかし、入院が長引いているだけの場合や、子の家に一時的に身を寄せている場合、介護老人保健施設への短期入所を挟んでいる場合は、状況に名前がつけられません。
検索しても、多くの記事は「空き家になった後」の管理方法や売却方法から始まっており、「まだ空き家と呼んでいいかもわからない」という手前の迷いには答えていません。
この曖昧さこそが、実家の話を先送りにしてしまう最大の理由です。
「まだ決まっていないから、考えるのはもう少し先でいい」と感じるのは自然な反応であり、責められることではありません。
ただし、状況が固まるまで何もしないでいると、電気・水道・郵便物・庭の手入れといった小さな管理の穴が広がっていくことも事実です。
大きな決断を急ぐ必要はありませんが、小さな確認だけは早めにしておくと、後から慌てずに済みます。
介護が必要になる人は増えている
「まだ何も決まっていない」という状態は、特別なことではありません。
厚生労働省の集計では、令和6年3月末時点の要介護・要支援認定者数は708万人となり、認定率は19.4%まで上昇しています(参照元: 厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)(令和6年3月分)」、2026年7月23日確認)。
入院や介護の必要性は多くの家庭にとって他人事ではなく、実家が一時的に空く状況は今後も珍しくなくなっていきます。
「うちだけ判断が遅れている」と感じる必要はなく、多くの家庭が同じ入り口に立っています。
すでに施設への入居がはっきり決まっている場合は、親が施設に入ったあと、実家はいつから考えるべきかや、親が施設に入った後の家、どうするかの全体地図もあわせて参考にしてください。
そもそも、いつから「空き家」と呼んでいいのか
法律上の定義を確認すると、判断の目安が見えてきます。
国の空家等対策の推進に関する特別措置法第2条では、「空家等」を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」と定義しています(参照元: e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」、2026年7月23日確認)。
「常態」とはどれくらいの期間を指すのか、国土交通省と総務省の基本指針では「概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは一つの基準となる」という考え方が示されています(参照元: 国土交通省・総務省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」、2026年7月23日確認)。
つまり、入院や一時的な別居が始まってから数か月程度であれば、法律上ただちに「空家等」として扱われるわけではありません。
ここで焦って結論を出す必要はなく、まずは様子を見ながら管理の空白を作らないことのほうが優先です。
ただし、この状態が一年、二年と長引きそうな見通しが立った時点では、次の一手を考え始めるタイミングだといえます。

令和5年12月に始まった「管理不全空家」という新しい区分
2023年(令和5年)12月13日には改正法が施行され、特定空家になる前段階の状態を「管理不全空家等」として市区町村が指導できる制度が新設されました(参照元: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について」、2026年7月23日確認)。
この制度は、老朽化や破損が進んでからではなく、その手前の段階から自治体が関与できるようにしたものです。
今すぐ管理不全空家に該当するかどうかを心配する必要はありませんが、誰も住んでいない家は放っておくと段階的に扱いが変わっていく仕組みがあることは、知っておくと安心材料になります。
まず確認すること3つ
状況に名前がつけられなくても、確認できることは3つに絞れます。
- 親が家に戻る見込みがどれくらいあるか(医師やケアマネジャーの見立てを含む)
- 家が今どういう状態で止まっているか(郵便物・電気・水道・戸締り・庭の様子)
- 当面、誰が実家の窓口になるか(大きな決断をする人ではなく、様子を見に行ける人)
この3つは、他の記事でよく見かける「名義」「相続」「片付け」とは違い、まだ何も決まっていない段階に合わせたものです。
名義や相続の話は、状況がもう少しはっきりしてから確認しても遅くありません。
今すぐ決めなくていいこと
次のようなことは、今の段階で結論を出す必要はありません。
- 売るか、貸すか、空き家のまま持つか
- 住民票を実家のままにするか、移すか
- 家財道具や思い出の品をどうするか
- 名義や将来の相続をどう整理するか
- 電気・ガスを完全に解約するかどうか
「決めなくていい」と伝えると不安になる方もいますが、状況が固まっていない段階で無理に結論を出すと、後で親の意向や家族の事情と食い違うことがあります。
まずは保留にしたまま、確認できることだけを進めておけば十分です。
住民票を残すか、移すか
入院や介護老人保健施設への入所の段階では、住民票を移す必要はない場合がほとんどです。
一方で、特別養護老人ホームなど地域密着型のサービスを含む施設に入る場合は、施設が所在する市区町村への住民票の異動が必要になることがあります。
住民票を移すと、介護保険料や国民健康保険料の算定基準となる市区町村が変わり、金額が変わる場合があります。
住民票を実家のまま残すと、郵便物や納税通知書が実家に届き続けるため、確認する担当者を決めておく必要があります。
どちらが得かは、施設の種類や自治体の制度によって変わるため、この記事では断定しません。
住民票の異動は、施設のケースワーカーや、実家がある市区町村の窓口に確認しながら、必要になった時点で判断すれば十分です。
迷ったまま数か月が過ぎても、大きな不利益がすぐに生じるものではないため、他の確認事項を優先しても構いません。
家が空いている間、最低限しておきたいこと
大きな決断を先送りにしていても、次の点だけは早めに確認しておくと安心です。
項目 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
郵便物 | 転送届を出すか、定期的に見に行ける人を決める |
電気・水道 | 解約せず最低限の契約を残すか、休止扱いにできるか事業者に確認する |
火災保険 | 契約が「居住用」のままだと、空き家化した際に補償対象外になる場合があるため、契約中の保険会社に確認する |
庭木・雑草 | 近隣への影響が出る前に、頻度を決めて手入れするか業者に相談する |
戸締り・防犯 | 鍵の予備をどこに保管するか、誰が持つかを家族内で共有する |
この中でも見落とされやすいのが火災保険です。
契約している保険が「居住用」を前提にしている場合、人が住まなくなった状態が続くと、契約上の補償対象から外れてしまうことがあります。
まだ結論を出す必要のない段階でも、保険会社への確認だけは早めに済ませておくと、いざというときに困りません。
より詳しいチェックリストは、親が施設に入った後、誰も住まない実家の管理チェックリストにまとめています。
令和6年の調査でわかった「住まなくなった理由」の内訳
「うちだけの特殊な事情だろうか」と感じる方も多いのですが、国の調査からは違う実態が見えてきます。
国土交通省が2025年8月に公表した最新の実態調査では、以前は人が住んでいたが空き家になった理由を尋ねています(参照元: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」、2026年7月23日確認)。
人が住まなくなった理由 | 割合 |
|---|---|
死亡 | 約43.9% |
別の住宅に転居 | 約39.0% |
老人ホームなどの施設に入居 | 約10.0% |
転勤など(一時的不在) | 約3.7% |
入院など(一時的不在) | 約1.2% |
出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(2026年7月23日確認)

この調査では、「入院や施設入居がきっかけで家に戻る予定があるため、物置として所有していた」という利用状況の区分もわざわざ設けられています。
つまり、入院や施設入居をきっかけに家が空く状況は、国の統計でも独立した項目として扱われるほど一般的だということです。
同じ調査では、現在も空き家である住宅の今後5年程度の意向として、「空き家として所有しておく」が約32%、「売却する」が約20%という結果も出ています(参照元は上記に同じ)。
3割以上の世帯が「今はまだ空き家として持っておく」という選択をしていることからも、すぐに売却や賃貸を決める必要がないことがわかります。
売る・貸す・管理・保留をどう考えるか
状況が固まっていない段階でも、選択肢を並べて眺めておくことはできます。
選択肢 | 向いているケース | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
売る | 親が家に戻る可能性が低いと見えてきた場合 | 親や家族の意向確認、名義の整理が必要になる場合がある |
貸す | 将来的に戻る可能性を残しつつ収入を得たい場合 | 入居者トラブルや原状回復の負担が発生しうる |
管理を続ける | 戻る可能性がまだ十分ある場合 | 維持費と管理の手間が継続してかかる |
保留する | 状況がまだ何も固まっていない場合 | 最低限の管理(郵便・保険・戸締り)だけは怠らない |

多くの記事では「売る」か「貸す」かのどちらかに誘導しがちですが、今の段階で最も現実的なのは「保留」という選択肢を正式に選ぶことです。
保留を選ぶ場合も、何もしないわけではなく、前の章で挙げた最低限の管理だけは続ける必要があります。
売る・貸す・管理・保留のどれが気になっているかを家族の中で共有しておくだけでも、今後の話し合いがしやすくなります。
「保留」を選んだときによくある失敗
保留を選ぶこと自体に問題はありませんが、保留と「何もしない」を混同すると、後で困ることがあります。
よくあるのは、郵便受けがあふれて近隣から指摘を受けて初めて異変に気づくケースです。
また、火災保険の契約内容を確認しないまま数年が経ち、いざというときに補償対象外だったと知るケースも見られます。
保留とは何も決めないことではなく、大きな決断だけを先送りにしながら、小さな管理は続けるという状態を指します。
選択肢の比較をさらに詳しく知りたい場合は、親の家を売るか残すか迷ったときの考え方も参考にしてください。
一都三県・松戸東葛に実家がある場合の距離の悩み
東京・神奈川・埼玉に住みながら、松戸や柏、流山、市川、船橋、我孫子、野田、鎌ケ谷といった千葉県東葛エリアに実家がある方も多くいます。
全国の空き家は約900万2千戸、空き家率は13.8%です(参照元: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」、2026年7月23日確認)。
千葉県内では39万4,100戸、空き家率12.3%となっており、松戸市は3万7,370戸、空き家率14.0%と全国平均をやや上回っています(参照元: 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 確報集計結果」、2026年7月23日確認)。
「完全な遠方」ではなく「行けなくはない距離」だからこそ、頻度を決めきれないまま実家との往復が中途半端になりやすいという事情もあります。
入院や介護のために親元に通いながら、月に一度、あるいは週末だけ実家に立ち寄るという生活が続くと、判断のための時間そのものが取りにくくなります。
地域の状況を知っておくことは、判断を急ぐためではなく、自分の実家だけが特別なわけではないと少し落ち着いて考えるための材料になります。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事が家族に転送されることを想定して、共有しやすい3点にまとめます。
- 親が家に戻る可能性が今のところどれくらいあるか、まだわからないままでよい
- 家の管理(郵便・電気・保険・戸締り)に穴があかないよう、当面の担当だけ決めておく
- 売る・貸す・管理・保留のどれにするかは、状況がもう少し見えてから、家族で一緒に考える
いきなり結論を求める内容ではないため、意見が対立しやすい家族の間でも共有しやすい内容になっています。
誰か一人だけが実家の心配を抱え込む必要はなく、まず現状を共有するところから始めれば十分です。
このような状態でも相談できます
次のような状態でも、親の家これから相談室では相談を受け付けています。
- 親が入院中で、施設に入るかどうかまだ決まっていない
- 子の家に一時的に身を寄せていて、実家をどうするか話していない
- 介護老人保健施設への短期入所を繰り返している
- 住民票を移すかどうか迷っている
- 家族の中で誰も実家の話を切り出していない
- 売る気はまだないが、今の状況だけ整理したい
売却を前提にした相談ではなく、状況整理そのものを目的にした相談として利用できます。
相談前チェックリスト
相談前に、次の点を確認しておくと話がスムーズです。
- 実家の所在地(市区町村までで構いません)
- 戸建て・マンション・土地など、家の種類
- 親が今どこにいるか(自宅・入院中・施設・子の家など)
- 家に戻る見込みがあるかどうか、今の時点でわかっている範囲
- 家の管理を今、誰がしているか
- 家族・親族の中で、実家について話している人がいるか
- 売る・貸す・管理・保留のうち、気になっているものがあるか
すべてが埋まっていなくても、わかる範囲だけで相談を始めることができます。
まとめ
親が入院や介護をきっかけに実家を離れた直後は、その状態に名前をつけられないまま時間だけが過ぎていきがちです。
しかし、法律上も「概ね年間を通して使用実績がないこと」が一つの目安とされているとおり、数か月の不在だけで急いで結論を出す必要はありません。
今すぐやるべきなのは、売る・貸すの決断ではなく、家の状態を確認し、最低限の管理に穴をあけないことです。
状況が見えてきた段階で、売る・貸す・管理・保留を家族で一緒に比較すれば十分間に合います。
今の段階で答えを出せていないことは、遅れているのではなく、状況がまだ固まっていないだけです。
松戸・東葛エリアの親の家について相談したい場合は、親の家 これから相談室 松戸・東葛のページもご覧ください。
今すぐ売る必要はありません。
まずは30秒で、親の家の状況を整理してみませんか。
片付け前、相続前、家族未相談でも大丈夫です。
家族に共有するなら、この3点だけ
この記事の要点は、次の3つです。
- いきなり売るかどうかを決める必要はない
- 片付け・相続・管理の順番を先に整理する
- 家族で話す前に、現状と選択肢をそろえると進めやすい
相談前に確認しておくとよいこと
よくある質問
Q.親が入院しただけで、まだ施設に入ると決まっていません。それでも相談できますか?
Q.住民票は移した方がいいですか?
Q.誰も住んでいない家は、すぐに空き家として扱われて不利益がありますか?
Q.家族の中でまだ誰も本気で話し合っていませんが、相談していいですか?
Q.売るか貸すか決めていなくても、相談だけできますか?
このような状態でも相談できます
運営について
親の家これから相談室は、株式会社ホームセレクションが運営しています。 親の家、実家、空き家について、今の状況からお気軽にご相談いただけます。 ご相談内容に応じて、必要な専門家や連携先と一緒に整理します。
宅地建物取引業免許:東京都知事免許(5)第79988号
運営会社情報を見る親の家のこと、まだ決めきれなくても大丈夫です。
売るかどうかを今決める必要はありません。片付け、相続、家族相談、管理負担のことから、まず今の状況を整理できます。
30秒で親の家の状況整理何も決まっていない段階でも、相談だけでも大丈夫です。
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